万物流転 | ナノ
11.きらめき2
「おい、見ろよ!ハリーとレイリにもママ特製セーターが届いてるぜ!」
「本当だ!…それにレイリは、三枚目ではないか!」

男子寮の階段から、青いセーターを着たフレッドとジョージが現れた。それぞれのセーターには黄色で『F』そして『G』がついていた。そしてその後ろから照れくさいのか、ほんのりと頬を染めたパーシー先輩が『P』の文字がでかでかと編まれたセーターに腕を通して歩いてきた。

「えっ!レイリ先輩、そのセーター三枚目なんですか!?」
「…そうだよ?」
「ママってば…もう、僕恥ずかしいよ!」

ハリーはジョージの言葉に驚き、それを肯定した私を見たロンは、あまりの恥ずかしさに栗色のセーターの中に顔をうずめ始める。「まぁ、レイリは特別だからな」とフレッドは私とハリーに近寄ってきた。

「そう言うなってロニー坊や。
 あー…やっぱり、レイリやハリーの方が上等だな」

「ママは、身内以外だとますます力が入るんだよ…」

「ロン、どうして着ないんだい?着ろよ。とっても温かいじゃないか」

ハリーと私の着ているセーターの背中を触りながらフレッドが言うと、ロンはその栗色に顔をうずめたままもごもご言った。そんな弟の頭を撫でながらジョージはせかす。

ロンがセーターに頭を通している時になってもフレッドが私の背中から手を離さないし、横腹の方へ手が伸びてきたので、力を込め強く太ももを叩いてやると、ようやく彼の手は私の背中から離れていった。

「減るもんじゃねぇし、触ってたっていいじゃないかケチー」とフレッドは言うが「相手が不快だと思えば、それは歴としたセクシャルハラスメントだぞ、馬鹿」とパーシー先輩に厳しい口調で窘められてて、そんなフレッドを見てジョージが笑っていた。

「いいかい、パーシー」
「なんだよ、ジョージ?」
「いつも君は他の監督生とテーブルにつくけど今日だけはダメだぞ」

ジョージがパーシーに向かって言うと、復帰したフレッドが「そうだそうだ!」と言って、またパーシー先輩に睨まれてる。「だってクリスマスは家族が一緒になって祝うものだろ」とにっこりと言ったジョージに、談話室にいる皆の心がじんわりと温まっていくのを感じた。

ウィーズリー家のクリスマスは、賑わしい。
そんな彼らを見ているハリーと私は、自然と笑い合った。

20130810
title by MH+
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