万物流転 | ナノ
12.あかいろ
図書館でしこたま読書に耽ったあと、談話室へ帰ろうとして館外へ出た。すると、複数の少年達の声と聞き覚えのある「うわぁ!」という声が聞こえ、人の身体が床に倒れる音が聞こえた。

音のする方へ足を踏み出した時、反対側からにやにやと悪い笑みを浮かべながらスリザリンの一年生達が歩いてくるのが見えた。『疑わしきは罰する』の精神に基づき、私は行動した。

気付かれないように水遁の術で彼らの数歩先の天井に水を浮かばせ、彼らがその下を通る時に落ちる様にチャクラで設定した。これも立派なトラップで、イタチから教えてもらったものである。

図書館を出てからひとつ目の角を右に曲がった時、あの三人らしき悲鳴が聞こえてきた。どうやら成功したみたいで、にぃと上がる口元を抑えるのには苦労する。もう一つ角を曲がった時、道端にイモムシのように身体をくねらせて地べたを這うロングボトムくんの姿を捉えた。

「ロングボトムだね?…誰に何されたの?」
「…せ、先輩! ぼ、僕…マルフォイに、マルフォイ達に…!」

「やっぱりマルフォイか…」
「…ぇ、?」
「心配しないで?…彼らは今頃ずぶ濡れだから」

生憎、今の私は杖を持っておらず彼がマルフォイ達にかけられた魔法を解くことはできない。不安そうなネビルの髪を撫で、頬に手をあてた。その私の動作で頬を真っ赤に染めたネビルは、緊張に身を固めた。「今日は特別だ」呟きながら目を閉じる私に不思議そうな視線を送る彼。

次に目を開いた時には、私の両目は赤く光っていた。この双眸はいわゆる写輪眼で、こちらに来てから二度目の開眼になる。この眼は催眠の効果もあり、彼にとって後々屈辱的に思われるだろうことをこれから行うので、ネビルにはことが済むまで眠ってもらおう。




「さて、寮まで運ぼうか…」

20130810
20160401表記修正
title by MH+

*もう一話つづく
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