35.さいてい2
「レイリが本当に男の子だったらなぁ…」
「やめてよ、アリシア。あなたまでそんなこと言うのは…」
「ごめんごめん!そう言う意味で言ったんじゃなくてよ!」
「アリシアは、レイリが美形だってことを伝えたかったんだよ」
「そうそう!さっすがアンジー!わたしの気持ち分かってる!」
金曜の夜は、身体が男になってしまい、女子寮へと上がる階段に掛けられている古い魔法が発動し、登れなくなってしまった。なので仕方なく男子寮の双子とリーの部屋へお邪魔することに…。
うっとりとしながら、私の肩や腕、頬、髪の毛を撫でるアリシアに嫌気が差しながら、私はこちらに向かって同情の眼差しを送ってくるアンジーに、何とも言えない気持ちになった。
そして、アンジーが女子寮から明日の朝のための下着や着替えやらを取りに行ってくれて、その時にこっそりと「襲われるようなことがあれば、迷わずこれを投げ付けなさい」と耳打ちされて手渡されたのは『芥子爆弾』だった。
さらに、遠巻きにこちらを見ていたハーマイオニーとジニーに私が目を向けると、勢いよく二人が駆けてきて、興奮した様子のまま、私に飛びついた。
「レイリ先輩!ぜひ一緒に写真撮って下さい!」
「お願いします!一生のお願い!コリン、来て!」
ジニーが呼ぶと、首からカメラをぶら下げた男の子が急いで駆け付けた。了承せぬまま勢いに押され流され、可愛いく思っている後輩の頼みのため、私はハーマイオニーとジニーとの撮影会に参加せざるを得なかった。
コリンは、ジニーと同じ学年でハリー・ポッターの大ファンである写真撮影が趣味の男の子だ。パシャパシャと目の前の少年がシャッターを切る音が談話室に響き、ここに残る生徒が少なくて本当に良かったと心底思った。
やっと解放された私は、ぐったりとして、ハートマークを辺りに散らしながら「おやすみなさいレイリ先輩!」と女子寮の階段を登って行く後輩二人に手を振る元気すら残っていなかった。
そんな私に手を差し伸べてくれたのは、困ったように眉を下げるリー・ジョーダンで「ジョージのベッド貸してやるから、部屋行こうぜ」と立ち上がらせてくれた。今日ほど、精神を色々な意味で抉られた日はなかったので、その優しい言葉掛けに、ほろりと涙が零れそうになる。
彼らの部屋へ付くと、五分ほど扉の前でストップさせられた。腕を組みながら待っていると、やっと扉が開けられて入室を許された。まだまだごちゃごちゃしていたが、足の踏み場は確保されていたので進もうした。すると、ジョージがベッドまで案内してくれると言うので大人しく彼の後に続いた。
流石にスネイプ教授経由で管理人に借りている制服のまま寝るのは憚られたので「誰かジャージ貸してよ」言えば、ジョージから黒のTシャツを、フレッドから短パンを差し出された。
私がローブを脱いで、シャツのボタンを外しはじめると「ちょ、いきなり脱ぎはじめるなよ!」とジョージから注意を受けた。
「はぁ…今は男の身体だろ?見たって、何にも感じないだろ?」荒っぽい口調で言えば、にやりと笑うフレッドに「レイリは女の子なんだから、そんな風に口聞いたらダメだぜ?」と言われた。
黒いシャツに袖を通し、制服のズボンを脱ぎ短パンに履き替えると、私はそのままジョージのベッドに倒れ込んだ。もちろん、借り物の制服はきっちりとたたんで、ベッドの傍の棚の上に置いてある。
シャワーは、明日起きてから浴びることに決めて、私は寝る支度を整えた。眠りに落ちる時、無意識に「この枕…ジョージのにおいが、する、ね」と口走ったような、口走ってないような。私は知らないうちに意識を手放したのだった。
20130901
20150409 修正
title by MH+
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「レイリが本当に男の子だったらなぁ…」
「やめてよ、アリシア。あなたまでそんなこと言うのは…」
「ごめんごめん!そう言う意味で言ったんじゃなくてよ!」
「アリシアは、レイリが美形だってことを伝えたかったんだよ」
「そうそう!さっすがアンジー!わたしの気持ち分かってる!」
金曜の夜は、身体が男になってしまい、女子寮へと上がる階段に掛けられている古い魔法が発動し、登れなくなってしまった。なので仕方なく男子寮の双子とリーの部屋へお邪魔することに…。
うっとりとしながら、私の肩や腕、頬、髪の毛を撫でるアリシアに嫌気が差しながら、私はこちらに向かって同情の眼差しを送ってくるアンジーに、何とも言えない気持ちになった。
そして、アンジーが女子寮から明日の朝のための下着や着替えやらを取りに行ってくれて、その時にこっそりと「襲われるようなことがあれば、迷わずこれを投げ付けなさい」と耳打ちされて手渡されたのは『芥子爆弾』だった。
さらに、遠巻きにこちらを見ていたハーマイオニーとジニーに私が目を向けると、勢いよく二人が駆けてきて、興奮した様子のまま、私に飛びついた。
「レイリ先輩!ぜひ一緒に写真撮って下さい!」
「お願いします!一生のお願い!コリン、来て!」
ジニーが呼ぶと、首からカメラをぶら下げた男の子が急いで駆け付けた。了承せぬまま勢いに押され流され、可愛いく思っている後輩の頼みのため、私はハーマイオニーとジニーとの撮影会に参加せざるを得なかった。
コリンは、ジニーと同じ学年でハリー・ポッターの大ファンである写真撮影が趣味の男の子だ。パシャパシャと目の前の少年がシャッターを切る音が談話室に響き、ここに残る生徒が少なくて本当に良かったと心底思った。
やっと解放された私は、ぐったりとして、ハートマークを辺りに散らしながら「おやすみなさいレイリ先輩!」と女子寮の階段を登って行く後輩二人に手を振る元気すら残っていなかった。
そんな私に手を差し伸べてくれたのは、困ったように眉を下げるリー・ジョーダンで「ジョージのベッド貸してやるから、部屋行こうぜ」と立ち上がらせてくれた。今日ほど、精神を色々な意味で抉られた日はなかったので、その優しい言葉掛けに、ほろりと涙が零れそうになる。
彼らの部屋へ付くと、五分ほど扉の前でストップさせられた。腕を組みながら待っていると、やっと扉が開けられて入室を許された。まだまだごちゃごちゃしていたが、足の踏み場は確保されていたので進もうした。すると、ジョージがベッドまで案内してくれると言うので大人しく彼の後に続いた。
流石にスネイプ教授経由で管理人に借りている制服のまま寝るのは憚られたので「誰かジャージ貸してよ」言えば、ジョージから黒のTシャツを、フレッドから短パンを差し出された。
私がローブを脱いで、シャツのボタンを外しはじめると「ちょ、いきなり脱ぎはじめるなよ!」とジョージから注意を受けた。
「はぁ…今は男の身体だろ?見たって、何にも感じないだろ?」荒っぽい口調で言えば、にやりと笑うフレッドに「レイリは女の子なんだから、そんな風に口聞いたらダメだぜ?」と言われた。
黒いシャツに袖を通し、制服のズボンを脱ぎ短パンに履き替えると、私はそのままジョージのベッドに倒れ込んだ。もちろん、借り物の制服はきっちりとたたんで、ベッドの傍の棚の上に置いてある。
シャワーは、明日起きてから浴びることに決めて、私は寝る支度を整えた。眠りに落ちる時、無意識に「この枕…ジョージのにおいが、する、ね」と口走ったような、口走ってないような。私は知らないうちに意識を手放したのだった。
20130901
20150409 修正
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