12話 B専風紀委員長の覚悟



(鬼島視点)


「なあ、遥の面倒みてくれないか」
「あ?」

俺はB専である。
これは学園内の誰もが知る事実だ。たまーに「抱いてください☆」とか言ってくるチワワ系男子は鼻で笑って追い返すし、美形、特に生徒会なんざ視界にいれたくねえ。

そんな俺に絶世の美形、遥唯人の面倒を見ろとか無茶ぶりをする甲木は馬鹿じゃねえのかと思った。

「お前が俺に頼みごとたぁ珍しいなァ」
「そんぐらいやばいととれよ」
「ふーん…パス」
「だが断る」
「いや、断るのは俺だ」

いつになく面倒な甲木にげんなりする。一見真面目に見えて性格破綻してっからな、こいつ。

「別に美形恐怖症ってわけじゃあねえだろ」
「ないな、けどだな、一人許すとなだれこんでくんだろ。なんのために文学部俺一人でやってると思ってんだ」
「五色塚から一人しかいない部活に予算はもったいねえって話が生徒会内ででてるっつー話きいた」
「…」
「別に公表しなきゃいい話だ」
「くそやろうめ」

確かに俺は美形が嫌い、で通ってはいるが本当は嫌い、より苦手に近い。
別に近くにいてもかまわない。しかし、そのキラキラした顔もさることながら、美形特有の中身の最悪さは目も当てられないものがある。

この学園じゃ特にだ。それにくらべて不細工はいいぜぇ、マジ。謙虚だしな。

「はるかゆいと、なあ。お前のツレならてめぇで面倒みやぁいい」
「…鬼島」
「…んだよ」
「これを見ろ」

しつけえ。
しつこすぎる甲木の方をむくと、片手に「B専のあなたへ!不細工集めました☆最高の写真集発売!」と帯がかかった本。

ようするにB専向けの写真集だ。

「こいつをやる、だから遥の面倒を」
「しゃーねーな」
「…(ちょろい)ついでに加佐見もつける」
「あー?加佐見―?マジかよ、俺あいつ嫌いなんだが」
「んでだよ」
「さーなー」

理由はただひとつだ。
あいつは性格が悪い。

「とりあえず、わーったよ、あいつのことは任せとけ」
「……」
「まかせとけっつってんだろーが」
「…ああ」


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