10話 生徒会長




『新入生歓迎会、会長探しの結果を発表します』

遥が理事長に会った翌日――。
講堂に集められた生徒たちは、まだ見ぬ生徒会長に胸を躍らせていた。

出回るヒントの中からは相当、容姿レベルの高い人物であることが発覚している。親衛隊はきゃいきゃいと騒ぎ、体の大きいタチの生徒たちも、期待はしているようである。

そんな中、哀原は昨日担任に「会長探し」の答えを申告した。なんとなく、確信はあった。

副会長、三藤の声に会場が沸き立った。

『最初に、生徒会長を探し出せた生徒を発表します。一人目は2年、加佐見千代』
会場内が五月蠅くなる。
「誰?加佐見って」
「さあ、わかんない…」
「…」
どうやら、皆誰か知らないらしい。

『次に、1年――哀原賢人』




「…遥」

ああ、やっぱりそうなんだ。
納得はすぐにできてしまった。遥が生徒会長、あの容姿なら全校生徒から苦情などもらうはずはない。

『…そして、もう一人。…風紀委員長、鬼島理衣』

しん、と会場が静まり返る。
「え…風紀委員長って人気あるんじゃないのか?」
唖然とした哀原が隣に座る星谷に訪ねた。
「ああ、人気だけど…あの人、生徒会嫌いなんだよ。つーか美形嫌いみたいだな〜。だから皆びっくりしてんだろ」
成程。
美形が嫌いなら、美形の頂点に立つ生徒会長など眼中にないだろう。

それなら、どうして探した?どうして分かった――?

『景品は図書カード五万円分です。それでは次に――』

地味にうれしい景品に哀原は少しだけテンションが上がった。しかし、次起こるであろう出来事には、頭が痛くなる。

『新生徒会長…、遥唯人のあいさつになります』


一部の親衛隊から悲鳴が上がった。哀原のクラスからも、信じられないと言ったような悲鳴が漏れる。
しかし、それは壇上に現れた美しい人物によって、かき消される――。


静まり返った講堂。
マイクを通じ、新生徒会長、遥唯人の声が伝えられる。

『今期の生徒会生徒会長を務めさせていただきます。一年の遥唯人です。よろしくおねがいします』


にこりとも笑わず、淡々と。
冷たく、遥は言葉を吐いた。





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