C
(大河視点)
総長は間違いなく、浮気症だ。
結婚したら女は相当苦労しそうだ。
「ソウさん、弁当す」
「おー、お前相変わらず女子力たっかいなー。嫁に来るか?」
「……」
教室で弁当を食べる姿すら、えろい。
軽い言葉で誰にでもこういうことを言うし、セクハラをする。
一般生徒からは当初、九十九さんと付き合っていると思われていた。
だけど、チームのやつらに絡むこともあって最近では軽い色男的なポジションだと思われている。
最近、九十九さんの親衛隊長に泣きながら話されたけど…。
どうやら隊員達の中で九十九さんを狙うタチな奴らが増殖しているらしい。
確かに、総長にセクハラされてるから、ネコっぽいと思われるのかもしれないが…。
一応、あの人がタチなんだよなぁ。
そういえば、親衛隊の過激派の中には総長を排除しようとする動きもあったみたいだが…。
「…総長」
「おい」
「ソウさん、最近何か変なことありませんでした?」
「あー?モジャモジャにストーキングされてるぅ」
「他で」
「他?いや、現在進行形のモジャモジャの方が問題じゃね?変なことじゃねえか」
「そりゃそうなんですが」
教室のドアの向こうから除いているモジャモジャ。
九十九さん狙いのくせに、どうやら総長の事も狙っているらしい。
ただし、ドアはあかない。
なぜなら必死にクラスメイトがドアを武装したからだ。
中から誰かが開けなければ入れない。
何故このような形になったのは、一学年上の俺には分からない。
総長と同じクラスの日和も、ドアの前ではりついてモジャモジャを追い返そうとしている。
「で、なんなんだよ。大河ァ、変なことって?」
「え、ええと…なんか、女みたいな男に言い寄られたりとか、罵倒されたりとか…」
「あァ、告白はされた。けど俺、女みたいなやつ苦手だから断った」
総長の言葉にほっとする。
流石にチワワ共に総長が手をだすと困る。
九十九さんは今や総長命…総長好みになろうと頑張る男。
チワワ食ったりすればチワワ化しようとする可能性がある。
そんな九十九さんは流石に見たくない。
「罵倒は…なんかされたわ」
「えっ!?」
「九十九様に近づくなーだってよ。笑えるわ」
「そ、それで…まさか!?」
総長は自分に危害を加えたり、面倒をかけたり、殴ろうとしたりするやつは大っきらいだ(仲間除く)。
半殺し…いや、8割くらいは逝ってるかもしれねぇ…。
「あァ…いや、殺ってねぇぞ」
「えっ!?そ、それはそれでびっくり…」
「いやぁ、殴りたかったんだけどな。なんか一通り罵倒した後、俺が近付いたら顔真っ赤にして逃げてったわ」
「…それ惚れられ…」
「てない。きもいこと言うな。いや、お前らが俺を好きになるのはいいんだぜ?」
「っ…ど、どうも」
まぁ、それはいいとして。
最近総長は九十九さんにあっていない。
九十九さんが仕事で忙しいのもあるけど、完全に避けている。
「総長、九十九さんは…」
「奴のことは言うな」
「えっ?」
総長は弁当をたいらげると、そのまま眠り始めた。
相変わらずクラスメイトがぶち破られそうなドアと格闘している中、総長はすやすや眠っている。
いや、それはいいとして。
「……なんで?」
なんで九十九さんの事を避けているんだ?
(49/60)
←prev next→
[
Top]