閑話休題
(雄利視点)
わからない。
総司さんが意味不明だ。
「そ、総司さ…」
「んー?」
青汁をちゅうちゅう吸いながら、ソファに座っている総司さんは、俺を膝にのってて(のせられた)尻をわしずかみながら、テレビを見ている。
テレビには大女優MIEが映っていた。
ハリウッドでも活躍した事のある、セクシーかつ演技力も抜群。日本でもファンが多すぎるほどいる。
「俺、仕事が…」
「今日は俺の部屋に来る約束だったろー。仕事は副会長にやっとけっつっといたからー」
「…」
哀れ副会長。お前は将来ハゲそうだな。
つーか、総司さんは何がしたいんだ?
「あの、なんで俺をここに…」
「んー?何ィ、お前俺をせかしてんのか?」
「…ッ」
つーっと背中に指を添わされ、ぞわぞわした。
「あ、の、そーじゃなく、て…」
「そうじゃないなら何だよ?焦らされて困ってるんだろー?お前」
「総司さんが…何をしたいのか、わからないから…」
総司さんは、ニヤニヤ笑って舌舐めずりをした。
「かわいいなーァ、雄利。お前なんなの?俺を煽るのはやめましょーねー?」
「煽ってません…」
「いや、煽ってんだよ無自覚にー。お前は俺のバックバージン貰ってもまだあんなババアにやくのか」
「バアア?」
「MIE」
指差してにやっと笑った総司さんは、俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「さっきからMIEばっか見てるじゃないですか…」
「それは、今後の事を考えてたんだよ。あー雄利、お前、やっぱいいわ。お前なら俺下でいいって」
「さっきも言ってましたけど…し、心臓がもたないんで無理です」
もしも、その、俺が総司さんとそういう行為をすることになったとしたら――総司さんの目にやられそうだ。
いつもやらしい目つきで俺を見る総司さんが、情欲に濡れた目で俺を見たらその時は――多分、心臓が止まる。俺にはハードすぎる。
「女なら星の数ほど経験してるだろ、お前」
「…そういう総司さんは童貞でしたね」
「お?何、童貞なめんなよ?あ?雄利ちゃん、なんならお前で筆おろししてやろうかコラ」
「別にいいですけど」
「冗談だし。お前従順すぎだろ。なんなんだよ、つまんねえ」
つまらない、と言われて、心が悲鳴を上げた。
俺がつまらなかったら、総司さんは俺を捨てるんだろうか。
「…俺は、つまらない、ですか」
「別に」
「…そーじ、さん…」
「泣くなよ馬鹿ァ」
総司さんに、見限られたくない。
ずっとそばにいたい。
過去の過ちさえ、許してくれた総司さんに、俺は一生ついていきたい。
だけど、総司さんはどう思っているんだろう?
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