02




※ちょいえろ注意



事は2月、俺が周陽学園に入試に行く少し前から動き出していた。

「あ?」

久しぶりに抗争に出た後、俺は自分が携帯電話を無くしていることに気付いた。ロックは面倒だからかけてない。
「…アウチ」
止めにいかないとまずいが、明日は入試だ。それにしたって、いつ落とした?部屋にはねーな。

「総司?明日入試でしょ?早く寝なさい」
「うっせーな、わかってんよ、若づくりババア」
「あ?今なんつったクソガキ」

ババアは顔に白いパックをしたまま部屋に勝手に入ってきた。

「なあ、俺のケータイとめといて」
「なに、なくしたの?ちょっと、あたしの番号もれたら事よ?」
「うるせえな、ババアで登録してあっから、拾われても気づかれねえよ」

ババアに子供がいることはトップシークレットだ。一応いまをときめく女優(自称)だからな。
「明日ちゃんと送れないように起きなさいよ?」
「わぁってんよ」

明日、いよいよ入試、人生初の受験。正直受かる自身はある。オヤジが、俺が通うことになったら寄付金いれるって学校にいってあるしな。

「…あいつら、おどろくだろーなー」

本名も教えていない、年齢すらも不明の総長が高校に入学してくるなんて。
あいつらのリアクションを考えるだけで、柄にもなくわくわくした。

――のに。


「…雄利?」

入試を終え、溜まり場に行くとそこはなぜか鬱々としていて。メンバー達は何故か俺を、恨むような、疎むような、怯えるような、そんな視線でみてきた。
「……ソウ」
「なんだよ、なぁに暗い顔して――」
「お前、お前…いままでどうしてた?」

九十九は、心臓に悪いくらいに憎悪のこもった目で俺を見上げていた。…んあ?なんだ、この違和感は。…もしかして、俺の歳とか、高校受験したこととかバレたのか?自分より年上が総長とか許せない感じかぁ?

あー、そうか?

「…雄利ィ、もしかして…気付いたのか?」
にや、と笑いながら言うと、九十九は目を見開いてから、立ち上がって俺の胸倉をつかんだ。
「なら、本当なんだな」
「…?バレちまったか、残念だった。けど――」
なんでそんな怒ってんだ?と言おうとしたところで、九十九に腹を思い切り殴られた。

「っ…」

殴る位怒るか!?フツ―!

「おいおい、何…」

ぱっと顔をあげると九十九の顔はどうにも、尋常じゃない。めちゃくちゃ怒ってやがる。んだよ、なんでそんなに。
不思議に思って、周囲を見れば、なんでか、俺の周りにあつまってきていた。

「…?」

わからないままいると、誰かに腕を掴まれた。思わず振り払うと、こんどは複数で抑え込まれる。
「オイ何を――」
「ふざけんなよ、あんた!あんなことしといて、その態度んだよ…!」
「は…?」

あんなこと…?

「…ソウ、俺はあんたを信用してた」
「…」
「だけど、あんたは俺らのことをどうにも思ってなかったんだな。どうせ青汁調達のパシリにでも思ってたんだろ」
いや、それはおかしいだろ。

「お前、なんの事言って…」

なんか、後ろで腕しばられたんだけど、なんだこれ。俺逃げていいのか?
…いや、だめだろ。

んなこと考えてたら、また九十九に殴られた。今度は顔。もろに入って(防御してないから当たり前だが)その場に倒れる。頭が床にぶつかって、嫌に痛みが走った。
「いっ…ッ、なにしやがんだ、クソ雄利ィ…!」
ぐらぐらすんだけど、これ。つーか人のお美しい顔狙ってんじゃねーぞコラ。ミンチにすんぞ。


「…お前、前に行ってたよな。仲間が裏切ったら自分だったらどう処分するか」
「あ…?」
裏切?
…俺の高校受験は裏切に入るのか?

「ガタイのいいプライド高いやつだったらぶち犯して泣かしてやりたい、って言ってたよな?」
「……言ったかな〜んなこと」
言うと、髪をつかんで顔をあげさせられた。そのまま、誰かがもってきたボトルを口につっこまれる。
中の液体は妙に甘ったるい。

「ゲホッ、かはっ…ッ」
「…きいてくるまでは、意識あるままヤってやる」
「なに、おま…は?」

うそだろ。


――散々ヤられて、異常なくらいにヤられて、声がかれるまで喘がされて。倉庫にそのまま放置された俺は、イカくさい体をタオルでぬぐうと、服をきた。
あいつらはもういなくなってたが、生臭い倉庫にはいたくなくて、すぐに外に出た。ケツが…痛い。それ以上に、メンタルが。そんで最高に頭がいたい。

なんだよ、俺がなにしたっつんだよ、あいつら…くそ、なんで俺がほられるんだよ…!ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな!

「…うぜえ」
けど。
あいつらに憎悪を向けられるほど、俺は友達がいない。

交差点にでてすぐ、俺はばったり倒れた。
そこから、俺は入院→記憶喪失。というわけだ。




「ただいま。大河センパイ?」
寮室に帰ると、リビングにいた山下の体がびくうっと跳ねた。おーやおやおや、話し方で気づくもんなんだなァ。
振り返る首がぎぎぎぎいって機械みたいにみえんぜぇ。

「そそそそそ、ソウさん…」
「くくっ、大河ァ」

どっからお仕置きしてやろーか?


(39/60)
←prev next→


[Top]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -