三日目 午前



「…よおォ、風紀委員長様ァ」
「お早い御登校ですね」
「…ち…っ」
「…あっはー」

「…」

風紀委員長は、何故か風紀室の前で待ち構えていた生徒会の面々に嫌な予感がした。


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引きこもり三日目
9月5日

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「ふぁ…っ」

昨日風紀委員長とともにお好み焼きを食べた明は、元々食が細いのでそれで一日もたせてしまった。朝7時に起床した明は早く起きてしまったことを悔やみつつ何をしようか悩んだ。
意外と、することがない。
携帯を開くととんでもない量の着信。もはやいやがらせである。

「…マジでいやがらせとちゃうん」
昨日風紀委員長は生徒会が仕事を再開したと言っていた。自分を辞めさせるために仕事をサボっていたとしたら――つじつまが合う。
なんやねん、くそ。

恋心を持っている自分に嫌悪感が湧く。明はいらいらしながら再び鳴りはじめた携帯を掴み、通話ボタンを押した。

「なんっっやねん!!!生徒会やったら御望みどおりやめたるからもう電話すんな!」
『……う、つのみや…?』
「っあ!?」
ディスプレイに表示された名前を見れば書記だった。
口下手やったら電話すんなや!
と内心きれる。
『…うつ、のみや……あ、の』
「あー…なに?」
『…ん、ごめん…!ん…あ!ちょ、…めっ!!』

ぶちり。
「は?」
何やら電話が切れた。ぎゃあぎゃあという忙しない声は聞こえたがよくわからない。
「…ごめん、なあ…」

そんなん言われても。

そう思った。たとえ役員全員から心から謝られたとしても、これ以上星村のいる生徒会にはいられる気がしない。失恋した相手と同じ空間にいるなど耐えられない。
「…つーか」
あいつ、転校生のどこに惚れとんねん。
恨みがましくぼやいて、明はベッドに体を沈めた。うとうとしだして、寝ようという時にインターホンが鳴る。舌うちしながらディスプレイを見れば――
「…どないした、その顔」
顔に絆創膏やら生傷ならを装備した風紀委員長がいた。



「ってめえ!せっかく繋がったのに切れたじゃねえか!」
「…し、ね……」
「あ!?」
書記が電話をかけるとたまたま繋がって。それに驚いた会長たちが電話を奪おうと動き、最終的にボタンをいじってしまったので通話は切れた。それから何度かけても明はでない。
会長は舌うちすると、書記の頭を小突いた。
「なんでてめえの電話はでたんだよ!あいつ!」
「……」
「にやけんな!ばかやろー!」
「半泣きになりながら問い詰めるのやめなさい」

ところで生徒会メンバーといえば、先程まで風紀委員長を制裁していた。
罪は明の手料理を食べたことである。
一度瑛が、『お前料理とかできねえの?腹減ったからなんか作れよ』と言ったが『俺料理できないも〜ん、食堂一緒に行く?』と華麗にスルーされたのだ(食堂には一緒に行った。にもかかわらず、委員長が手料理を食べたという噂(風紀委員の間でまわっていた、どうやら口をすべらせたらしい)を受け生徒会が激怒しないはずがなかった。

会長がキャメルクラッチを喰らわせたあたりで風紀委員長は脱走し、生徒会メンバーはいら立ちのあまりたまたま通りかかった生徒会顧問にドロップキックをくらわせた。

「…なんつってた、宇都宮」
「……」
書記はくちで説明するのが面倒だったのか紙にかいた。
『会長なんか大っきらい、死ね』
「…おい、うそつくなよ」
「し…ね」
「そう思ってんのはてめえだろうが!正直に書け!」
「ちっ…」

そして書記は先程言われた言葉を紙にかいた。
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