二日目午後



「やっぱり素直が一番なんじゃないですかね…」
副会長が真剣な顔で、電話片手にキーボードをたたきながら言う。
「そうですよぉ。俺たちがぁ謝ればぁ、まるく収まるでしょお」
庶務もその意見に同意した。
「俺が素直に謝ってる光景なんじゃ気色悪いわ」
会長はメールを高速打ちしながらぼやいた。
「き…も…、でも…あやま、れ…」
書記はとうとう会長に対して命令系になった。
「うるせえな!なんで俺らが謝るんだ!」
「はい?本気で言ってます?別にあなたは謝らなくていいですよ、このまま嫌われていいなら」
「うっ…」
副会長の一言で会長が押し黙る。明がらみになるととてつもなく弱いのは生徒会しか知らない情報だ(本人は除く)。

「星村…あなた、謝らないってことは、宇都宮を僕らに渡してもかまわないということですね?」
「あ…!?」


---------

引きこもり二日目
午後

---------


会長、星村瑛はそれはもう、宇都宮明が好きで好きで仕方がない人種である。
転校当時から騒がれていたが、それ以上に生徒会入りしてからの溺愛っぷりは目が痛くなるほどだった(本人自覚なし)。生徒会はメンバー全員が宇都宮を溺愛していたがその中でもすばぬけている。
『かいちょ〜今日もかっこいいねえ』
毎日言われるこの台詞(明としての精いっぱいの寒くないアプローチ)に幸せをかみしめる瑛を残りのメンバーは苛々しながら瑛の写真に釘をさす日々であった。

何せ瑛の嫉妬は半端ではなく、少し明と会話した生徒でさえ殺さんという勢いで殴りかかる始末である。
そんな生徒会長星村瑛を失脚させようと生徒会メンバーのもくろみは幾度となくあったが作戦を考えていると、タイミング悪く転校生がやってきてしまった。

そこで副会長は、転校生に夢中になり、生徒会全員が仕事をサボタージュ。しかし、自分だけは明を助ける、という作戦を思いついたのである。
――しかし。
「それがまさか全員同じことを考えていたとは…」
とにかく、生徒会メンバーは転校生と自分以外のメンバーを近づけ惚れさせようと奮闘した。全員が同じ考えだったとは知らず。

しかし、最終的に全員が同じ作戦を立てていたとわかり協力することにしたのだった。
全員が仕事をサボタージュ→弱ったところに優しくしてぱくり、というものだったが、やはり失敗に終わった。誰が明を落とすか喧嘩になったからだ。

「どうすんすかぁ?絶対、明許してくれませんよお。だから速く謝ろうっていったのにい〜」
「うるせえな。仕事して疲れてる明がすげえ可愛かったんだよ、眺めたかったんだよ、おかずにしたかったんだよ」
「げ…ひ、ん…」
確かに仕事をしていたときの明は色気垂れながしの色々とまずい状態だった。
「それにこっそり仕事半分はやってたじゃねえか」
「それはそうですが…」
「…あー、わーったよ。あらまりゃいいんだろ。チッ、いくか」

全員が立ち上がり、そしてとまる。

「…おい、俺がいまから謝りにいってあわよくば食うんだよ。邪魔すんな」
「はあ?星村、先程まで乗り気じゃなかったですよね?僕が先に言って差し上げますよ?まあ純潔は頂いてくるかもしれませんがね」
「だ…め…、お…いく…」
「だめだよお、俺がいくんですう。あわよくばにゃんにゃんするんですうー!」

「…」
「…チッ」
「…」
「…」

〜そして生徒会室は戦場になった〜



その頃、明は生徒会メンバーのことは気にも留めずとりためしていたお笑い番組を見ていた。
「あー最近この芸人つっこみ遅すぎやろーもうちょいびしっとせなー」
「…おい」
「あ?」
ちなみに風紀委員長はまだいた。
「何してんねん、はよ帰れや」
「だから、生徒会とあってだな…」
「うっさいボケ。黙れ」
「お前くちが悪すぎるぞ…」

会計時の明は相当猫をかぶっていた。

『失礼します〜、はぁい、これ☆書類だよぉ』
あの時のへにゃへにゃした笑顔はもはや影も形もない。
「あー腹減ったな」
「食堂はあいてるぞ」
現在昼の12時だ、授業が終わるのは12時10分。そろそろ行かないと人が多くなる時間だ。
「ええわ、お好み焼きするし」
「お好み焼き?」
「あ?なんや坊ちゃん食うたことないんか?」
「ない…」

目を輝かせる風紀委員長に、明は頭をかいた。

「材料買うて来るんやったら食わせたるわ」
「買ってくる、何を買えばいい」
「…」

犬二号だ…と明は思った。一号は書記。


(7/60)
←prev next→


[Top]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -