伊織君とみかんちゃん




「はぁあ…」

調理部とケーキ訓練の毎日の俺は、最近ろくに休みがない。授業中はケーキを作るのに忙しいし、放課後はお店を回して、夜には調理部の皆にケーキの指導。過労でしんじゃうんじゃないかと思いながら、現在店番中。

この間の理事長のアドバイス?からケーキの数を増やしたので、職員の方も買っていってくれる。たくさん話しかけてくれるけど、チキンな俺は何も返事できない…コミュ障ですがなにか。

「みかんちゃん!」
「あ…篤士」

ぼうっとしてたら目の前に篤士がやってきていた。

「今日のローテーション分のケーキいっこずつ、残ってる分でいいから〜」
「わ、わかった」

おどおどしながらケーキを箱に詰める。お会計は生徒会のケーキ無料カード…ん?

「篤士、これ…この間あの、く、九条君にあげたんじゃ」
「これ?これは会長のー。買ってこいって言われた〜」
「そ、そう」

箱を渡すと、篤士はうれしそうににやにや笑う。

「みかんちゃん最近明るくなったね、昔と比べたら」
「…」
それは昔がとんでもなく暗かっただけだな…。
「人間不信気味だったしね…特に高校のころは」
「…うっ」
「あっ!ごめんごめん泣かないで!」
「…」

めそめそしながらショーケースの奥に引っ込む。無性にケーキバイキングに行きたくなった。最近自分で作ったのしか食べてない…。

「あ」
「…」
「みかんちゃん、おきゃくさーん」
「え!?あぁああ…」

急いでハンカチで顔ぬぐって出ると、この間の篤士のお友達の九条君。やっぱり不良っぽいよこわいよちょっと…でもケーキ好きな人に悪人はいない…!

「いいいらっしゃいませ!」
「…みかん」
「!?」
「お前、みかんとかいうやつか」
「え、ははは、はい?はい!」

そういえばこないだ会ったときは、前髪あげてた。わかんないもんだなぁ…。

「前髪、上げてた方がいいんじゃないか」
「え」
「衛生的に」
「うっ、う?うん?」
「…見栄え的にも」
「んんん????えと、ええ?」

篤士が爆笑してる。ええと、え、なに?

「とりあえずご注文は…」
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