03



五階建てのマンションを前に、インターフォンを押すか迷う。
帰国したことは光にしか知らせていない。
言わないと京兄あたりが、また怒りだしそうだ。

ところがそんな燈の心配をよそに、光はずかずかと入っていく。
まあ別に実家な訳だしいいか、と自己完結して光の後について行った。


「ただいま〜」
「ただいま」
「おかえり…って光と燈!?」


一番に反応したのは雅臣。
もちろん弥も一緒にいる訳で。


「わーい、ひかるんにあかりんだー!!」


弥のタックルにあう。


「おかえり」
「…おかえりなさい」


落ち着いている要と、明らかに警戒している右京。
これで、上5人がここに揃っているという事になる。


「…みんな暇なの?」
「違います、休みなんです。」


ポツンと呟くように発せられた疑問に、右京がイライラした風に答える。
が、右京の事など気にもとめずに光が聞く。


「他の奴は?」
「椿たちは出掛けてて、風斗は仕事で、後は部屋にいるんじゃないかな」
「行く?燈」
「いいよ別に。それより荷物おろしたい」
「じゃあ俺の元においで?」


リビングから動く気のない燈に、うん臭さ満点の要が言う。


「はいカバン」
「俺荷物置き場じゃないからね?」
「知ってる」
「余計タチ悪いよ」
「ごめんごめん。私ソファー座りたいから要どいて」
「はいはい」


やれやれ、といった表情で要が立ち上がる。
その空いたソファーに燈が座り、背もたれに背中を預ける。
目をつぶると、深く息を吐いた。


「……」
「りーちゃん?」
「…すぅ」
「寝てるよ」


顔を覗き込んだ光が答える。
座ると同時に寝てしまったようだ。


「やっぱり疲れてたんだね」
「じゃあ僕が布団持ってくるよ」
「僕も手伝うー!」
「うん、行こうか」


雅臣が弥を連れて布団を取りに、部屋へ向かっていった。

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