02



空港を出て、光を探す。
少し見渡すだけで見つけることが出来た。
オレンジの髪に赤い車。
見つけるのは造作もない事だった。


「光」
「燈、おかえり」
「ただいま」


近づいて、光に声を掛ける。
燈に気づいた彼は、1つ上の兄と似ている黄金色の目を少し細め、口角をクイっと持ち上げた。
彼は至ってシンプルな服装だったが、それが優雅さを助長していた。


「今日は女装してないんだ」
「あれは仕事でやってるんだって」
「結構気に入ってるでしょ」
「さぁ?」


取り敢えず乗って、と促されて助手席に乗り込む。


「1時間くらいだっけ?」
「渋滞してなきゃね」


そう言うと光は車のエンジンをかけた。
空港を出発し、マンションへと向かう。


「光はマンションで暮らしてるの?」
「いや、別で一人暮らししてる。騒がしくて」
「確かにね」

「燈パリ行ったのいつだっけ」
「2年とちょっと前」
「じゃあ…、侑介が中学の頃か」
「あ、侑介高校入れた?」
「ハハッ、入れたよ。さすがの侑介でも中卒で終わっちゃまずいだろ」
「まあ高校入ったから何という訳じゃないけど。どこ?」
「陽出高校。俺らの後輩」
「…私もう一ランク上げとけばよかったな」
「そんなに嫌?」
「侑介頑張ったね、って事で」
「はいはい」


自分と弟の侑介が同じ高校と聞いてショックを受けている燈。
彼女にもプライドがあるのだろう。
さりげなく侑介を馬鹿にしている事に、本人は気付いているのだろうか。


「もうすぐだよ」


光の言葉に周りを見渡してみると、見慣れた懐かしい景色。
2年で急激に変わることもなく、建物も記憶通りだ。


「到着」
「ありがと」


渋滞することも無かったため、時間通りに着いた。

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