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フランス、オルリー空港。
6番ゲートのゲートラウンジで、スマホを耳に当てている女がいた。


「光、今日本にいるんだっけ?」
「そうだよ。前帰ったって言っただろ?」
「言ったっけ、忘れてた。明日、私も帰るから」
「また急だな」
「今空港。もう乗るから」
「明日迎え行こうか?車出すけど?」
「じゃあお願い」
「了解」


通話を切るとスマホをしまい、パスポートとチケットを確認する。
搭乗のアナウンスが入ると、慣れたように搭乗ゲートへ歩いて行った。

約12時間後には日本に着く。
久しぶりに帰る我が家に、久しぶりに会う家族、そして双子の片割れ。
表情には出なくても、心が弾んでいるのは確かだった。

全員が乗り込むにはそれなりに時間がかかる。
隣に座ったフランス人らしい男と、少し言葉を交わす。


「こんにちは。日本へは観光?仕事?」
「仕事だよ。まあ観光もしようと思ってるけどね」
「日本が気に入るといいわ」
「君は日本人?」
「ええ」
「フランス語が上手だね」
「ありがとう。私も仕事で、何年か住んでたから」
「そうなんだ」



しばらくしてからやっと飛行機が動き出した。
長い滑走路を経て、フランスの地から日本へ飛び立った。

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