06



リビングでは、家にいる兄弟が集まり、食卓を囲んでいていた。


「あかりん来たー!!」


弥の声に、全員がドアの方を見る。
丁度燈が部屋に入ってきた所だった。


「え、燈姉帰ってたの!?」
「うん、さっき」
「えー!俺知らなかったんだけど!!」
「別に知らせなくてもいいかと思って」
「酷くねっ!?」


椿は悲しんでいるが、知らせていないのは別に椿だけではない。
隣にいる梓にだって伝えていなかったが、彼はおかえり、とまるで知ってたいたかのように言ってくる。
この差はどこで生まれたというのだ。


「あ、ビーフシチュー」
「右京が腕によりをかけて作ってくれたんだよ」
「うん」
「りーちゃんビーフシチュー食べたいとか思ってたの?」
「うん」
「へぇ…。え、ほんとに?」
「今言ったでしょ」
「京兄すごいね…」
「早く座ってください、冷めてしまいますよ」


一番手前の椅子を引く。
昴と侑介の間だ。


「「いただきます」」


久しぶりに口にする、右京の料理。
右京の料理はおふくろの味と言っても過言ではないだろう。


「侑介、陽出高校ってほんと?」
「え?あ、ああ」
「へーぇ」
「なんだよ?」
「いや侑介が私の後輩に当たるのかと思うとなんか嫌…感慨深いなーと思って」
「嫌なのかよ!俺だって受験勉強くらい真面目にやったんだよ!」
「その頭で真面目とか言われても説得力ない」
「くっ、それは…」
「ほらこれ。昴みたいなのなら少しは説得力増すよ」
「これって言うな」


突然白羽の矢が立った昴が抗議の声をあげるも、燈は聞いていない。


「てか姉貴の髪だって同じようなもんだろ!?」
「アンタの中二病と一緒にしないでくれる?私地毛だから」
「俺もだよ!!」
「うるさい」
「あ、ごめん…って、なんで謝ってんだよ!?」
「だからうるさいって。ビーフシチュー味わってるから黙ってていいよ」
「なんで上からなんだよ…」
「姉貴だから」
「ぐっ…」


侑介との口論に興醒めしたのか、静かに食べ始める燈。
完全に振り回されている侑介である。
侑介が燈に敵うようになる日は来るのだろうか。

prev next

 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -