05



〜燈side〜



「んっ…」


目が覚めると、ベッドに寝ていた。
…自分の部屋だ。
久しぶりに入った。
ロックを掛けておいたから、誰にも入られていないようだ。
別に見られて困るようなものはないが、勝手にいじられるのは気に障る。
多分、光が私をここまで運んでくれたんだろう。
番号がわかるとしたら光しかいないから。

双子だから、というだけなのかは分からないが、私達はとてもよく似ている。
見た目もそうだが、考え方が。
直感、閃き、といったものが被る。
生まれてこの方、同じ環境で育ってきたせいかもしれない。
イタリアとフランス、国の違いはあれど、ヨーロッパで仕事する事を選んだのも同じ時期だった。
一時期、一緒にされるのが嫌で光を遠ざけようとした事もあった。
結局は要に丸め込まれてしまったのだが。
ちょっとやそっとじゃ切れない縁なのだろう。
今じゃそんな事もなくなり、むしろ光には感謝している。

椿に言わせれば、1つの魂を分け合った仲なのだから。
椿が棗の事もそう思っているとは思えないが。
三つ子らしく3人でいればいいものを。

…弟の事に思いを馳せている場合ではない。
時差の影響もあってか、時間感覚が全くない。


「おはよ」
「おはよ…。今何時…?」


いつの間にか隣にいた光。
挨拶を返してから時間を聞く。
おそらく、おはようの時間帯ではないけれど。


「夜の7時。そろそろ夕飯だけど?」
「…行く」
「多分京兄が気合い入れて作ってるだろうから早く来なよ。俺は先行ってるから」
「分かった」


ラフな服に着替える。
クローゼットの中が変わってない事に少し嬉しくなる自分もいた。
部屋を出て、リビングへと向かう。

京兄の夕飯か…。
ビーフシチューがいいな。

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