07



「ごちそうさま」


食器をまとめて流しに運んでからリビングのソファーの方へ向かう。
最近は食べ終わったらすぐ部屋に戻る事の多い昴や祈織も、今日はソファーに座っていた。
気にしていないような素振りをしていても、やはり燈の事が気になるのだろう。
いつもはいない光に、食器を洗い終えた右京が加わると、その人数は少なくはない。
それでもまだ余裕のある朝日奈家のソファーの大きさや如何に。


「それで、なんで日本に戻ってきたの?」


光が先陣を切る形で燈に尋ねる。


「日本支部で働くことになったから」
「燈の会社ってフランスだけじゃなかったっけ」
「グローバル化だよ。日本にも展開するって言うから来た」
「へぇ」
「じゃあ、あかりんずっとおうちにいるの?」
「仕事以外はね」
「やったー!」


無邪気に喜ぶ弥。
それは微笑ましいのだが、それで聞きたいことが終わる訳ではない。
転校生の初日のように質問が投げかけられる。
燈にしてはきちんと答えていた方だろう。
普段なら会話が弾む前に冷たく断ち切ることの方が多い。


「てかさ、燈姉来たって棗知らなくね?」
「確かにね」
「じゃー棗呼ぶ?」
「いいよ別に」
「うわー棗振られてやんの」
「椿、棗呼んどいたから」
「え、梓なにしてんのさー!」
「知らせとくべきでしょ?」
「ぶー」
「椿それ可愛くないキモい」
「うっ、燈姉辛辣…」


真顔で言うもんだから、威力は3割増しだ。


「りーちゃん、パリのお土産ないの?」
「要にはない」
「え、俺にはってどういう事」
「そのまんまだよ。適当に空港でお菓子買ってきたから、後で持ってくる」
「わーいお菓子ー!」
「明日ね」
「えー」
「もう夕飯食べたでしょ」
「うん…」


部屋に取りに行くのめんどくさいし、等と言うから弥が納得しないのだが、燈の言うことは間違ってはいない。
結局雅臣が静める事になるのだが。

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