恥を知れ!風雲児

またはじまってしまった。

「第ひゃくにじゅうご回っ!シュートと遊ぼう!です!」

精一杯嫌な顔をしてみるがこれまで成功したことはない。
なまえと付き合い始めて気がついたんだが
この女は気が違ってるとしか思えない行動にでる。
今始まってる気がするこれは、主に俺と遊ぶ為の絡みだ。
勝手に色々タイトルをつけて俺を弄ぶ口実に近い。

「本日のー内容はー」

「たのむ・・簡単なものに・・せめて、簡単なものに・・」

「かくれんぼでーす!」

「あー・・・・・」

ででん、と言いながらターンしたなまえは
誇らしげに俺に言ってきた。
簡単なようでこの大事な書類や本棚が多い
俺の家でそれは面倒だった。

「じゃあ!数えてる間に隠れてねっ!いーち」

俺が隠れる側なのか。
目の前でなまえは膝を抱えて座った。
膝の間に自分の頭を押し付けるように
下を向き、数字を数える声が響く。


「にーいっ・・さーーんっ・・」

だいたいいつもこいつはこうだ。
俺は思わず腕を組んでなまえのつむじを
見つめながら思い返していた。

初めの頃は、仕事が忙しい俺にきっとかまってほしくて
こんな奇行に走っているんだと
許容していたがご覧の通り、
125回も続いているらしいこれには
ほとほと疲れる。

「にーじゅに、にーじゅっさんっ」

でもなまえは未だに、本当に俺の恋人なのか寝る前に何度か日記を読み返して
確認しないといけないほど可愛いし、
気がきくし、可愛いんだ。

これさえなければ。

「よーんじゅっよーんじゅいっち」

これ100まで数えるタイプのかくれんぼなのか・・。
もう数え疲れ始めていて、体育座りしている体勢を
左右に揺らしているなまえ。
俺はいいことを思いついてしまった。

「ごーじゅよ・・おっおお?!」

なまえを後ろから抱きしめるように座り、
彼女の頭の上に頭を載せた。
こうやって俺の腕の中に入ってしまうところも好きなところだ。

「ちょっと!今!数えてる!」

「どうぞ・・」

「どうぞってあのまずかくれんぼ!」

「どうぞ・・」

「いや、ばか!」

腕の中でもう数えることをやめたなまえが
精一杯もだえている。
片腕だけでも押さえつけられるこの非力さが
愛らしくも面白くもあってやめられない。

「また、俺の勝ちだな。」

「・・125敗めだよ、もう!」

ああ、126敗目は明日かな。

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