ちゃんと慰めてください




「会長、ほら元気だしてください」
「そうだよー。ねぇお願いだから顔あげて?」
「「かいちょ大丈夫?」」


前、横、後ろから順繰りに副会長、会計、書記双子に慰められながらも顔を上げることが出来ないのは、なんでか変な時期に転入してきた生徒のせいだった。
誰が校門まで迎えに行くかという話になって「会長は待っててね」とみんなに言われたのが申し訳なくて、無理を押し切って迎えに行った。
するとそこには元気いっぱいです!といった感じのボサボサの鬘に大きなメガネをかけた生徒がいて、迎えに来た旨を話している途中に話を遮られまくり、友達になろうと言われ、挙句の果てになんでか唇にキスまでされた。
欧米育ちだと聞いてはいたが、俺は今まで清い唇を守り続けてきたんだ。転入生にとってキスなんてどうってことないことかもしれないが、俺にとっては所謂ファーストキスだったわけで。
しつこく落ち込んでくるわけを聞いてくる生徒会のみんなにそのことを話すと、無理やり顔を上げさせられた。いたい。

「……だいじょぶです。男とのキスはカウントに入りませんよ」
「そうだよぉ。あんなモジャなんてホコリが口に入ったくらいに思って元気だしてぇ」
「「僕たちが後でそのモジャにたっぷりお仕置きしといてあげるからゆーりくんは気にしなくていいからね」」

「ほ、んとか」


ああだめだ。四人の慰めにも関わらず元から緩みやすい俺の涙腺は熱くなって、ぽろぽろと情けないが涙が溢れた。


「本当ですとも!!会長の純潔は全校生徒がお守りします!」

二度とあんなモジャには近づけさせません!!そう叫びながらバーン!と派手に登場したのはうちの親衛隊の隊長だった。
一瞬びっくりして涙も引っ込む。「明石」と隊長の名前を呼ぶと「かわいそうに!」と言いながらぎゅうぎゅう抱きしめられた。

「ちなみにどこまでされたんですか」

副会長が冷静に聞く。そのときふに、と唇を会計が撫でた。

「唇いつもより赤いもんねぇ。会長ぉ、がっつりされたの?」
「ふ、」
「ああ泣かないでください!可愛らしい!そんな顔をしたら生徒会の皆さんに一体ナニをされるやもしれません!」

ふにふにと触られて、あのときの感触を思い出して思わず顔が熱くなる。ショックだったことも相まってまた視界がぼやける。

「べろ」
「え?」
「べろ、いれられた」

そう言ったとき、会計の指の動きが止まる。顔をあげると、みんな固まってこっちを見ていた。
不思議に思っていると不意に「おのれあのチンチクリンめが!」が隊長が叫び、かと思ったら、後ろから伸びてきた手に無理やり横を向かされた。

「会長かわいそう」
「僕らが消毒してあげるよ」

珍しくハモらないんだなあと思っていると、双子の兄の方にちゅうっと口を吸われて思考が止まった。

「あ……!?」
「ふふ、やーらかい」

驚いているうちに素早く舌を差し込まれて抜き差しされる。ぬるぬるとベロの表面を兄のベロが滑る。
その感覚にぞわりと背筋が粟立ち、体まで固まった。

「やん、……んん、あ」
「………会長、そんな可愛い声、あのモジャにも聞かせたの?」
「本当にあいつどうする?」
「もちろん制裁でしょ」

キスの合間に二人で喋るのでその度に舌が出たり抜けたりして、それが余計生々しくて、顔がどんどん熱くなる。
思わず、なぜか黙りこくっている隊長に手を伸ばすと、ハッとしたように「会長…!」と声を上げた。

「なんて可愛らしい…!もう犯していいですか?!」
「…う?」
「ああいいねぇ。そうすれば、あんなモジャのことなんて吹っ飛ぶでしょ」
「でも最初から6Pなんて刺激が強すぎませんか?」
「ん!?」

副会長の手がするするとシャツの下の腹を撫でる。
会計が俺の靴下を脱がしながら手の指を吸う。
隊長がスラックスのベルトに手をかける。
弟の舌が耳の穴に突っ込まれる。
俺の涙腺は決壊して涙がぼろぼろ流れる。


「もっと泣いてね。かーわい」


誰かがそう呟いたのを最後に、ブラックアウト。





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