上の会話を遡ってみると、ほとんどが阿久津先輩からちょっかい出して、それにみさきちゃんがスタンプで怒りを表示→阿久津先輩やり返す→ループ→漸く本題に入るという流れだった。くだらなすぎる。
「ほんとにあいつ嫌いだ」 「なんで?」 「うざいから」
なぜか暫くおれの顔や床に目線を彷徨わせてからその一言で済ませたがものすごい嫌そうな顔をしていた。
「ていうかみさきちゃんって嫌いな人とかいるんだねー」
人に危害を加えるような性格じゃないし、理由もなく嫌ったり嫌がらせをするような人じゃない。こんなんでも意外と懐が深いらしく、たまにおれが何かやらかしても最終的には「まぁ仕方ないな」で終わらすのだ。そのみさきちゃんが一番嫌いな人物、阿久津先輩とは如何に。
するとみさきちゃんはすいっと目を逸らし、不審に思い副会長に視線を向けると、なぜかなんともいえない顔をされた。
「……いやその人は」 「草太ぁー!!」
副会長がなにか言いかけて、みさきちゃんは慌てたようにまたバーン!と両手で机に手をついた。
「……え?」 「上っ面はいいんだけどね。心底好きなのなんて鈴木くらいじゃない? 他の奴らはここ入れないし」 「は?」 「生徒には好かれてるけど本人は直接喋らないし、ここも一般生徒立ち入り禁止だし」 「え!?」
じゃあおれ入っちゃダメじゃね。と思っているとそれを読んだように副会長は首を振る。
「鈴木は平気。むしろ、ほんとはその人も鈴木しか入れたくないだろうし」 「草太ぁああああ!」
全力で副会長に掴みかかりに行ったみさきちゃんはしかし、簡単に足で薙ぎ払われていた。ていうかみさきちゃん顔赤い。
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