『待て待て待て!予想外すぎるよー!!』

「うるさいな、何だよ名字、いきなり私を呼び出しといて。告白ならお断りだぞ。あとで雷蔵に怒られ」

『わあああ!』

「は?……おいどうした」


あの後タイミングよくチャイムが鳴ってくれたおかげで、私は不破くんから逃れられたのだけど!
ちょ、私聞いてない…!
不破くんていつも笑顔で優しくてふわふわした子じゃなかったんですか…!

同じ顔そっくりなのに残念な方の鉢屋くんを呼び出して聞いてみることにした。
ん、あぁ。残念な方って、鉢屋くんに決まってるじゃない。
何でそこで突っ掛かってくるの。


「ほんと…雷蔵も何でこんな奴が好きなんだか…」

『なに? なんか言った?』

「いや何でもー」


ボソッと呟いた声は聞こえなかった。
何か言いたいことがあるならはっきり言ってくださいね鉢屋くん。
それよりもさっ、不破くんだよ不破くん!
私の思い描いてた優しい紳士な不破くんは、実はあんなに黒いお方だったのか!
だってすごかったんだよ、さっきの不破くん。
なんかね、後ろにドス黒いオーラが見えてたし、すごく綺麗な笑顔してたし…び、びっくりしたんだから!


「雷蔵は怒らせると一番怖いからな」

『いや怒ってなかったと思いますけどね』

「まぁどっちにしろ、雷蔵の黒い部分を見て驚いた、ってとこか?」

『……はい』

「ふーん、で?」


で、って何!
鉢屋くんはペンをくるくると回しながら私に視線を向けてきた。
何だろう、そのドヤ顔むかつくからやめていただきたい。

確かに私の知らない不破くんを見てどうしていいかわかんない気持ちがある。
だっ、だって告白まがいなこともしてしまったんだし…!//

実はさっきも廊下ですれ違って声掛けられたんだけど、怖くて逃げて来ちゃった。
あ、ちょ、そんな呆れた顔しないでー。


「まぁそこも含めて雷蔵好きになってやれよ」

『何その上から目線死ね』

「ほんと私に対しては厳しいなお前」


宿題をやり終えたらしい鉢屋くんは帰り支度をし始めた。
ちょ、待ってくださいって!


「後は二人で直接話せよ。雷蔵、私は先に帰ってるからな」

「うん、ありがと三郎」

『ん?!』


何で不破くんの声がするんだろうと思ったら……あ、れ。
ちょ、あの、何これデジャヴ?
何故不破くんがいるのですかー!!

おおおい、鉢屋くん何してくれてるの!!


「ねぇ名字さん、あ、名前」

『へっ?!』

「名前……嫌だった?」

『いやいやいや、ま、まさか不破くんが名前で私を呼んでくれるなんて!う、嬉しいよ!』

「そっか、よかった」


ふんわり。
笑ってくれた顔はとっても可愛いらしくて、私の心臓が跳ね上がった。
いっいきなり名前呼びなんて反則だよ!//

けど、や、やっぱり不破くんの後ろにあるその黒いオーラは何なんでしょう。
そして私、あれ、何でこんな壁と不破くんの間に挟まれてるのかな全然わかんない!


「名前は僕のこと、好き…?」

『うぇ?!//え、えっと、す、…』


てっ展開が早すぎてついてけませんん!
不破くんなんか目元うるうるしてるしっ!ちょ、何それ可愛い!//

わ、私は不破くんのことが好き…だもんね!
確かに不破くんの知らない部分もいっぱいあると思うけど、目の前に不破くんが居てドキドキしてる自分がいるんだもん。


『す、好き、です…』

「そっかー、よかった」


不和くんはホッとしたようでまたにこにこと私に微笑みかけてくれる。
距離が近過ぎてど、どうにかなってしまいそうだ…!
い、いつになったら離れてくれるのかな?


『………えっと、不破くん?』

「でもさっき僕のこと無視したよね、名前」

『え』

「すごいショックだったんだけど。ねぇ、僕を寂しい気持ちにさせたら










(え、え…?!//)
(スキありー)

ちゅっ

(っ?!//)
(ごちそうさま!)



110503

……………………
雷蔵様はいいですね!