いきなり先輩方の声が聞こえたと思ったら、襖がスパアァン!と勢いよく開いた。

一年生たちは驚いて(まぁ俺もちょっと驚いたんだけど)名前先輩の袴をぎゅっと握る。

あ、先輩嫌な顔してるなー。


それにしても何でこんなに六年生が全員揃ってるんだ?
しかもすごい形相で。

俺達学級委員四人は頭に?マークを浮かべて顔を見合った。




「名前!お前学級委員長委員会委員長だったのか!だからあんなに作法委員会誘っても断り続けたのだな!!」


『う、あ…立花仙蔵。そんなに顔を近付けるな…。そもそも同じ組だから同じ委員会には入れな…


「名前がろ組に行けばそんなの問題ではない」


『なっ、お、お前…っ』


「ひどいぞ名前ー!体育委員会に入りたいって前に言ってたじゃないかー!」


『幻聴だ』


「まさか学級委員長委員会委員長だったとはな…気づかなかった。用具に欲しかったんだが」


「保健委員会も不運じゃない名前が欲しかったよ!」


『……す…っ、すまない』


「……ぼそぼそ」


「まぁ同じ組じゃなければ、会計に来いと言えたのだが…仕方ない」




『……うっ』




名字先輩は六年生の先輩方に責められ、顔を紅らめていた。

うわ、何この人。
すごい可愛い…!


何となくわかっちゃったかも。
名字先輩はどうやら押しに弱いようだ。

にこにことその様子を見ていると、にやにやしている三郎と目が合う。
どうやら同じことを思ったらしい。


この先輩からかったらおもしろそうだなー。




「まぁそういうわけで!先輩方諦めてくださいねー!名前先輩は学級委員長委員会委員長ですし」



ぎゅっと鉢屋が名字先輩を抱きしめると、先輩方の顔が青くなる。

と、同時に


あれ…名字先輩?



ちょっ、ちょっちょっと!!
名字先輩涙目えええええええ!!

かっ可愛い!
そして三郎ずるいよお前ばっかり!

俺も負けじとぎゅっと反対から抱き着けば、名字先輩はビクっと強張らせ目をつぶった。



「くそ、鉢屋と尾浜!お前ら名前に近付きすぎだ離れろ!」

「ずるいずるいずるーい!私も名前にくっつきたい!!」


「お前が抱き着いたら名前が潰れてしまうだろうバカタレィ!」




『たっ、頼むから…離してくれ二人とも…!』




駄目だ。
もうこの先輩そこら辺のくのたまより断然可愛い。

先輩方に睨まれても俺達はどうもしなかった。



が、六年生の殺気に怖がっている一年生たちがかわいそうだったので、離すことにした。


ちぇー。

まぁ、名字先輩……いや名前先輩とはまたこうして委員会で会えるわけだし、いいにするか。




『もう嫌だ!誰も私に必要以上に関わるなぁぁ!!』





だっ。



体を解放した途端、我等が委員長が逃げてしまった。

今日の委員会活動は名前先輩捕獲大作戦、ってとこかな?
まあ、お茶会もいいけどこういうのもありだよね。



三郎に目をやると、にんまりと今日の指示を出したのだった。








101231

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男主っていいですね