「どうして学級委員長委員会なんですかああああ!!しかも委員長だったなんて!」


『………くっ久々知兵助』



今一番会いたくないやつに会ってしまった私は、朝から不運だろうか。

否、不運である。


どこぞのトイペ男やそれに感化されたペド野郎でもないのに。
下級生は嫌いではないが。

あいつの場合はストレートに下級生に当たっていくからちょっと羨ましい、とか思っていないんだか…ら…

あ。


それよりも今問題なのは目の前の久々知兵助だ。
そんな泣き顔で言うのは反則だと思う、とっても。
ものすごく良心が痛む。


私がこいつに会いたくなかった理由は二つ。




「名前先輩!名前先輩はっ俺のこと嫌いなんですか…?」


『う…ぁ…そ、んなことは』


「じゃぁ俺のこと好きなんですよね!そうですね!」


『え!…ぁ、えっと』




「じゃぁ!今からでも遅くありません!火薬委員会に移りましょう!」




こいつも食満留三郎みたいに、何故か私に直球を投げて来るのだ。

ドストレート。


私は人との関わりが少ないので、こうも気持ちをストレートに言われると困ってしまう。

要は押しに弱い。


つまり、=苦手という方程式ができあがってしまう。




「さあ、ほら提出書類書きに行きましょう名前先輩」


『わっ!…な、な!久々知兵助!手、手を離してくれ!』


「火薬委員会に来てくれるって言うまで離しませんっ」




二つ目はスキンシップが激しいとこ…か。


いやそれを言うとこの前初めて委員会活動で会った、鉢屋三郎と尾浜を思い出す。
あいつらも私に何かとベタベタ触ってきたな…。

何だ五年生はスキンシップが激しい学年なのか?



そ、それよりも!
久々知兵助!

手を離してもらうのは後にするとしてだな!


私は火薬委員会には行かないぞ!!




「兵助、何してんの?」
「名前先輩ー会いたかった!」


「勘ちゃんに三郎!」


『(うわ、噂をすれば…)』




前から歩いてきた二人は私たちに話し掛けてきた。
と思ったら、二人とも私に抱き着いてくる始末。

ああ、もうほんと勘弁してくれ。しかも尾浜勘右衛門、お前……え?




『おい尾浜勘右衛門……笑いながら尻を撫でるなあああ!!』


「え?あぁすいません」


「ちょっと勘ちゃん!俺の名前先輩に何してんだよ!」


「勘右衛門ずるいし!しかも兵助、名前先輩はお前のもんじゃないからな!」




何なんだこいつらは。

どうして六年生の私が、一つ下の学年にこんなに遊ばれなくてはならない。


六年生のやつらもやつらだが、この一つ下の五年生もなかなかキャラが濃いと思う。

是非関わらないでほしい。




「名前先輩は火薬委員会に入ってもらう。ですよね、先輩?」


「「は?」」


『い、いや!久々知兵助!私は火薬には入らないからな!』


「くっ!こんなに相思相愛なのに……。はっ!もしかしてお前ら名前先輩を脅したんじゃないだろうな!」




「「『は?!』」」




いきなりぶっ飛んだ結論を出したらしい久々知兵助は二人をじろりと睨んだ。

いやいやいや。


こいつ頭大丈夫か…?

苦手な理由もう一つ追加で。
妄想癖がすごい、久々知兵助。


私はもともと学級委員長だったわけで脅されてなんてしていない。
それに何故私がお前と相思相愛ってことになってるんだ。



ああああ。




「脅すわけないだろ!それに私たちだって名前先輩のことが好きで相思相愛だ!」


「なっ何?!」


「だから名前先輩は火薬にやれないよ兵助」


「ーっ!名前先輩っ」



あれ、何だかすごい頭痛がする。



五年生の慌てた顔を最後に、私の意識は途切れた。








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ツンデレってやっぱいいですね