「はい、これ君にもあげる」

『あ、りがと…です』

「うーんっ違うんだよね!やっぱり可愛い猫ちゃんなんだし、語尾ににゃんつけてみよう!」

『? …ありがと、にゃん?』

「だあああ可愛いー!!はっちゃんこの子もらっ」

「だーめーだ!」


今日は休日。
いつもは忍術に励んでいるハチたちですが、今日はお部屋でまったりしています。
へーすけやかんちゃん、らいぞーにさぶろー、いつの間にか私たちの部屋に集まってたんですよ。

お茶入れに行って帰って来たら人数が増えてて…あれ。
これじゃ湯呑みが足りませんっ!
かんちゃんに桜餅というものをいただきながら私はまた食堂に向かおうとしたのだけど、


「俺が行ってくるから、お前はゆっくりしてな」


くしゃくしゃとハチは私の頭を撫でて食堂に行ってしまいました。
ふふっ、ほんとにハチは優しい人です。


「?どうしたの?そんなに尻尾振って…なんかいいことあった?」

『らいぞー!え、と…ハチ、私の代わり、湯呑み…食堂、です!』

「そっか。ハチもだけど君もありがとね」


またくしゃくしゃとらいぞーに頭を撫でられました。
私はらいぞーの笑った顔が大好きです。
私も自然ににこにこなるから不思議。
尻尾も気持ちに比例してふにゃふにゃ動いちゃうんです。


「そういえば、この子の名前って何だろう?」

「確かに」

「え、名前あるんじゃないの?」

「お前、名前は?」


皆が皆私の周りに集まると、ぐるりと私を囲むように座った。
わ、何だか真ん中って恥ずかしい…ですね//
そっそうです、名前名前…。
でも私は母さまに名前らしきもので呼ばれたことがないなぁそういえば。

私は今までずっと“猫神様”と奉られてきました。
なので名前だなんて、考えたことなかった。


『名前、ない…』


そうだ、皆にはちゃんと名前があるけれど、私はない…ですね。
何だか無性にらいぞーたちが羨ましくなってしまいました。


「じゃぁ考えよう」

「俺が可愛い名前つけてあげるっ」

「いいや私に任せろ!勘右衛門はセンスないしな」

「何それひどい!」

「僕たちが君に可愛い名前つけてあげるよ」


泣きそうだった私をぎゅっと皆が抱きしめてくれました。


『み、んな…』


「ざーんねん!!」


「「「「?!」」」」

『ハ、チ?』


ぎゅっと後ろから勢いよく抱きつかれたと思ったら、ハチの声が降ってきました。
ん?
残念って何のことでしょう…?


「飼い主が飼い猫の名前を決めるのは当たり前だろっ」


にっこり。
ハチは私を掬い上げて抱き抱えると、人間の子供にするように私に高い高いをしました。
ああ、あの、え、はっハチ…?//
ちょっとこれは恥ずかしいですよ!///


「何だよーもう決めてあったのか?」

「変なのだったら即却下!」

「まぁ飼い主なのはハチだから仕方ないけど」

「…で、なんて名前?」


「名前。

お前の名前は今日から名前だ!俺結構いろんな名前考えたんだけど、これが一番気に入ってんだ。」


『名前…』

「ダメ、か?」


名前、名前、名前…。
なんて可愛い名前なんだろう。
私は今日から名前なんですね!
すごく嬉しくて、私はハチにぎゅうっと抱き着きました。
ハチは返事をしない私を心配していたけれど、余計な心配なのですよ。

だって、ハチがくれたものは、私にとって全て宝物なのですから。
名前って名前、とっても嬉しい!


「ハチにしてはセンスいいじゃん、どうした」

「おい何だその言い方…」

「俺もてっきり「たま」とでも言い出すかと」

「言わねえよ!」

「えっ、俺それ考えてたんだけどなぁ」


「「「「やっぱ勘右衛門ってセンスないな…」」」」


「皆ひどいっ!」


『ハチありがとう…です』

「喜んでもらえてよかったよ、名前。あ、苗字は竹谷でいいからな」


わ!
私ハチから苗字ももらってしまいました…!
ってことは、今日から私は竹谷名前、なのですね!

…あ、あれ?
ハチ、後ろ向いてください。
皆なんか怒ってませんか?


「ハチの苗字なんていらねーだろ!名前!鉢屋にしとけって」

「ずるいずるいっ名前は将来尾浜名前になるの!」

「久々知名前…いいな」

「皆何言ってるの。不破って苗字が一番名前にあってるよ」


「ああああもうお前らうるせー!名前は竹谷名前なの!!」


『ふふっ』


今日はハチから苗字と名前を貰いました。
とっても嬉しかったです!







110330

……………………
やっと名前出せました
これからは変換機能使ってきます^^