どうしよう。


初っ端から鬱だ。



何でこの仕事を受けてしまったんだろうか、とすごく後悔している。

いや、でもあの時後ろに居たヘムヘムの顔がすごく怖かったんだ、仕方ないじゃない!

ヘムヘムもあんな顔できるんだね!


ただこれからはここで男として仕事するわけだから、女々しいことは絶対だめだ。
言葉遣いもしぐさもバレないようにしなくちゃいけない。


そうすると、必然的に上級生と先生方とは仲良くなれないかな。
仲良くなるとバレる確率高いし。

でも私もっとフレンドリーを期待してたんだけど。



さてと、男装も終えたことだし自分の部屋を確認しに行くか。



……場所がわかんないよ!




『あの、すみません』


「っ//…何ですか?」


『? 久々知くんと尾浜くんの部屋に案内してほしいんですが』



通りすがった男の子に道を聞くことに成功した。

何年生だろ?
まだ学年色を聞いてないのでわからないが、下級生の子かな。

髪の毛の色が前と後ろで違う。

オッシャレー!



「じゃぁ俺が案内しますっ」


『ありがとう、助かります』



やっぱり子供って可愛いなぁ。

何だか嬉しくなってにこりと笑うと、男の子は顔を紅くして俯いてしまった(え、なんかごめん!)。


あっ、そうだ名前聞こう。



『私は明日から教師になる名字名前です。 君の名前は?』


「(名字先生…) 俺は三年ろ組次屋三之助です」


『覚えました。で、三之助くん』


「?」




『ここ三周目なんですけど』




おいこの掛け軸三回目だよ。

三之助くん長屋に住んでるんだよね?
もしかして……というかかなりの


方向オンチくんなのかな…!



私たぶん人選間違えたね。
どうしよう。

これちゃんと辿り着けます?



「おかしいな…ここを曲がれば着くはずなのに」


『そこ厠ですよ』



だめだ、無理そうだ。


辺りを見回してみたが生徒らしき子はいない。

人の少ないところに来てしまった。


一人ぶつぶつと悩んでいる三之助くんは可愛いけど、このまま彼に任せると日が暮れるね、これ。



「三之助ー! ここに居た!」


「おっ、作兵衛」


「お前また迷子かよ、探し…………誰この人?//」


『明日からここで働くことになった名字名前です』



どうやら三之助くんの友達だったみたいだ。
今の私からすると、とても救世主に見える!

富松作兵衛と名乗った作兵衛くんに道を聞くことにしよう。


うわあ、助かった!



「こいつに道は聞いちゃだめですよ、絶対。 あともう一人やっかいなやついますが」


『そうだったんですか…(何という確率で引いてしまったんだろ)』


「あ、ここです」



やっと着いた久々知くんと尾浜くんの部屋。
この隣がどうやら私の使っていい部屋になるらしい。

先生用の長屋もあるようだが学園長が気を利かせてくれた。


まぁそれでも生徒と隣部屋だけど。



『ふふ、ありがとうございました、二人とも』


「べっ別に大したことじゃ…」


「っ…では失礼します」



二人に礼を言って(いちよう三之助くんにもね)、まずはお隣さんに挨拶かな!


どんな子だろう?

一年生? それとも二年生?


どっちにしろ可愛いければ誰でもいいのだが、



荷物を廊下に置いて深呼吸。




『失礼します。 隣部屋に住むことになった名字名前で…』








「! え、あ、初めまして。 五年い組の久々知兵助です」


「おっ同じく、五年い組の尾浜勘右衛門です」










あれ、まさかの五年生?







100926

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三年生の口調わからん