「ふふふ…ざまあみろ久々知兵助!」


五年は組とい組の合同実習があることを知った私は、は組の子達に久々知兵助を懲らしめてもらうようにお願いしたの。
もちろん、ほら、私って天女さまじゃない?
涙目でお願いをすればいとも簡単には組の子達を差し向けることができた。
ほんと、私って何でもできちゃって困るわ!

今回、何で久々知兵助を狙ったかって?

あの愛しの名前くんを誘惑したからよ!
私の名前くんなのに!
名前くんも名前くんで、何であんなやつがいいわけ?
そもそも男同士じゃない。
私は女で名前くんは男。
気持ち良くさせることができるのはこの私だけなのに!
他の五年生の雷蔵くんも三郎くんも勘右衛門くんも、名前くんにベッタリ。
何なのよ。男色とか気持ち悪い!
名前くんをそっちの道に連れてかないでよね。

まぁ今回とりあえず、あの忌ま忌ましい久々知兵助(ずっと私のこと睨んでくるのよ…ああ思い出しても腹立つ!)をやっつけることができたわ。
これでもまだ名前くんに近づくようなら、忍たま達を使ってもっとひどいことしてやる。
今度は六年生に頼もうかしら。
だって彼等は私に夢中だもの!
何を言っても信じてくれるしね。


「あ、姫香さん!」

『! 伊作くん、こんにちは』

「姫香さん、今仕事ないですか…?あの、もしよかったら…今日もお茶会しません?」

『うん!いいよ!』


庭で忍たま達がいないか散歩しているとトイペを持った伊作くんに話し掛けられた。

仕事がないなんて嘘だけど(全部小松田に任せてるからね)、伊作くんとお茶会も悪くないなー!
実はねここだけの話、最近よく伊作くんと二人で密会してるの。
前まであんまり話したことなかったんだけど、伊作くんもかっこいいじゃない?
まぁ名前くんの次にだけど!
だからちょっと嬉しかったり。

いつも美味しいお茶菓子をくれるんだー!
今日は何だろう?


「あとこのトイペを置いてくるだけなので、僕の部屋で待っててくれませんか?」

『うん!じゃぁ先に行ってるね!』


伊作くんの部屋というよりは、伊作くんと留三郎くんの部屋っていうのが正しいんだけど。
何故かいつも部屋に行くと留三郎くんいないんだよね。
伊作くんと二人きりもいいけど、留三郎くんも居てくれてもいいのになぁ、なんて!


コロコロコロ…


『?』


目の前にサッカーボールが転がってきた。
誰だろう?
辺りを見回せば、グラウンドに一年は組の子達がいた。
目が合ってにっこり笑ってあげれば、皆も照れ笑いしながら手を振ってくれる(小さい子って可愛い!…ショタコンじゃないけど)。
きり丸くんがこちらに走ってきた。


「姫香さーん!ボール投げてくれませんかー?」

『うん!いいよー!』


えい!


少し距離があったのでボールが届くか心配だったけど、なんとか届いたみたい。
お礼を言って去っていくきり丸くん。
いいなぁ…。
私もサッカーやりたかったかも。
………って!
伊作くんとお茶会があったんだ!
もう私ってば!
伊作くんとの二人きりの時間もっと大事にしないと。


『コホッ、コホッ…』


咳が出る。
何でだろう…?
最近ちょっとした運動すると気管支が詰まってなんか息苦しいんだよね。
今のもほんとに少し力を入れただけなのに。

まぁ久々知兵助のこともあったし…、私最近疲れてるのかしら?
これから伊作くんに会うし、彼保健委員会委員長だもの、お茶会で聞いてみよ!
もしかしたら伊作くん、私のこと心配してくれるかも…ふふっ!
もちろん本命は名前くんだけど、伊作くんに心配されるのも悪くないかな。

さて!早く伊作くん達の部屋に行こうっと。



(コホッコホッ…今日のお茶菓子は何かな?)
(でもお菓子だけじゃなくて)
(伊作くんが入れてくれるお茶も美味しいんだよね)








110819

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もう少しで終わりそうです