「兵、すけ……っ、僕、兵助を気持ち良くさせ…たいな…?」

『え』


今日もいつも通り、俺の部屋で名前と交ぐあっていた。
もちろん勘ちゃんは気を利かせて出て行ったけどさ。
まあともかく、ほんとそこまでは昨日と同じだったんだ、同じ……だった、よな。

名前の装束を脱がそうとしたら、俺の手を白い名前の手が掴んでそう言った。
何、何これどういうこと。


『名前…?』

「僕いつも兵助や皆にしてもらって、ばかりだし……」

『! そ、ういうことか』


何だ。
期待をしてしまった自分に腹が立つ。
……俺はほんと何をしているんだろう。
こんな時にあれだけど、ふと我に返ってみれば簡単な話だった。

名前が俺を好きになるわけがない。

こんないかにも強制的に犯されて、挙げ句に好きな相手に会うのを禁止されて。
好意を持たれることは何もしていない。
むしろ名前は、俺のこともっと憎むべきだよ。
幼なじみだからって理由で全部受け止めるなよ。

何でこんな俺にお前は優しくしてくれるんだ…?


『はッ…名前、も、いいから…、っ』

「いいよ、…このまま、出してくれて構わないか、ら」

『うァ…!』


俺は呆気なく名前の口内で達してしまった。
余韻に浸りながら息を整える。
名前はまだ俺のものをくわえたまんまだ。
って、おい、そろそろ離してくれ、名前も苦しいだろ。


「ふはっ、気持ち良かった…?」

『…あぁ。名前、お前大丈夫か?』

「僕なら平気だよ。……兵助が喜んでくれてよかった。僕も嬉しい…//」


名前は俺の顔を見ると紅くなった顔でにっこり笑った。
兵助が喜んでくれて僕も嬉しい……それはどういう意味、なんだ。
それに、最近はあの女の話題が減っていた。
確かに俺が言わせようとしなかったのも原因だとは思うけど、名前は遠目からあの女を見ることも少なくなった、気がする。

なあ、俺は少しでも…お前の瞳に映れている、のか?






今日は五年い組とは組の合同練習だ。
名前と会えない授業時間はつまらない、そう言ったら勘ちゃんに笑われた。
「名前を守る騎士が弱かったらだめだろ?」
確かにその通り、か。
よし俺も名前のために頑張らないと。

これは個人戦だ。
各々が持つ巻物を奪い合い、その数を競うというもの。
勘ちゃんとはさっき別れてしまった。

今思うとそれがいけなかったのかもしれない。


カカカッ。


『っ』


後ろに気配を感じた俺は、飛ばされてきた苦無を間一髪で避ける。
そこにまた新たに別の忍たまが突っ込んできたため、俺は急いで寸鉄を取り出し急所を狙った。

一人を退かし体制を整えた俺の目の前には、


『?!』


ズラリと見知らぬ顔がいっぱい居た。
つまり五年は組連中。
数は……ざっと数えてほぼ全員お出まし、なんじゃないか…?

何で俺に、こんな大人数で来る。


『巻物は一つしか持ってないが』

「あぁ巻物?」

「いや別にそれには興味ないんだよね」

『じゃぁ、何で俺一人に大人数で来る…?』

「さあな」

「まーでもこいつやればいいんだろ?」

「姫香さん喜んでくれるよな」


姫 香 さ ん 。

全てがリンクした。
最近あの女と名前は接触がなかったから甘く見てしまっていたが。


ああ俺あの女に嵌められたのか。






俺は気が付いたら自室に居て、心配そうに除き込んでいたはっちゃんと目があったのはその三日後。



(あの女早く何とかしないと)
(名前に何かあってからじゃ遅いんだ)
(名前、名前、お前は今どこに居る?)








110424

……………………
じんわり、じんわり。