満月と新月
ジュディスの真意
夕食を食べ終えて、ベティはジュディスと2人で、内緒話をしていた。
「フェローはなんていってたのん?」
「なにも…ただ、ナギーグで繋がった瞬間に、彼の哀しみや、苦悩が伝わってきたわ」
夜の風が2人をすり抜ける。
ユーリ達は楽しそうに話をしているようだ。
「フェローの苦悩ねぇ」
ベティは手のひらを見つめた。
「世界に害をなすと判断したら、私が殺すと宣言をしてしまったわ」
ジュディスはにっこりと笑った。
「……なんとかするわ、私だって今は力を抑えてくれる存在がいる。エステルにも見つかるはずよ」
ベティは俯く。
「とりあえずは、待ってくれるみたいだから、まだ時間はあるわ」
ジュディスがベティに笑いかけた。
エステルとカロルは、すっかり夢の中でベティは先ほどから姿が見えない。
「ご苦労様」
ジュディスが、ラピードと話していたユーリに話しかけた。
「なにがだよ」
「寝ずの見張り番、でしょう?」
「そんなんじゃねぇよ」
「素直じゃないのね」
「あんたもな」
「おかしいわね。自分では素直だと思うけれど」
「よく言うぜ。ギルドに入った理由を言わないくせに」
「気に入ったからよ」
「それだけか?」
「違うわ。掟に反しない限りは、個々の意思は尊重、でしょう?安心して。掟は守るわ。必ず。私なりにだけれど」
「そっか……わかった。ま、そのうち本当のところ、聞かせてもらうぜ。ところで、ベティとは知り合いなのか?」
「あら、どうしてそう思うのかしら?」
「何度も話してただろ、2人で。いまさらシラ切るなんて、無しだろ」
「叶わないわね。でも、知り合いと言うわけでもないのよ。彼女が私を知っていただけで」
「ふーん、ダングレストにいたのは偶然か?」
「そうね、それは本当。素敵なことに」
ジュディスはにっこりと笑った。
「素敵ね……」
「ご苦労様」
「見張りか?」
「私の相手」
ジュディスはにこりと笑うと、すっと指をさした。
「なんだよ?」
ユーリは不思議そうに首を傾げる。
「あなたの探している人は、向こうに行ったけれど?」
ユーリは肩を竦めた。