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ウォーターセブンの町を自由に駆ける男、通称『山風』と呼ばれているカクは、つい先ほど依頼をしてきたホーキンス海賊団の船を査定してきた帰りだ。
くるくるっ、と遊び心に回って、スタッ、と工場の敷地に無事着地する。いつも通り十分ほどで帰ってきたカクを驚きの表情で見たホーキンス海賊団の船員が目に入る。船員達の目は称賛の色を湛えており、格好こそ怪しいが中身は普通の海の男らしい。


「すげェ!ホントに十分で帰ってきた!」

「早ェ!!さすが造船の島だぜ!」

「………遅い」


最後のぼそりとした呟きは船員ではなく、海賊団の船長のものだった。


「遅いと言われたのは初めてじゃ。これからもっと精進せんとのう!」


ワハハハ!と笑い飛ばせば、ホーキンスがじろりと視線だけでカクを見て『…お前のことじゃない』と無愛想に言った。


「あのよ、何度も言うけど、うちの船長いつもあぁで…」

「分かっとるわい。気にしとらん」

「で、カク。船の方はどうだった?クルッポー」


船員の律儀なフォローを軽く聞いていると、横からルッチがカクに話しかけた。


「まぁ、それなりに痛みがあるところはあったが、竜骨とかの重要なところは傷ついておらんかった」

「そうか」

「良かったな、アンタら。修理の方はすぐ終わりそうだぞ」


パウリーが船員達に向かって言うと、彼らは良かった良かったとお互いに言い合っていた。と、その時、


プルルルル…


電伝虫のコール音が響いた。
そして突然ホーキンスがガタリッと立ち上がり、一人の船員の元へと無言で歩み寄る。何事かと身構える船大工の三人を余所に、船員は心得ていたようで、これまた無言で電伝虫を取り出してホーキンスに渡した。


ガチャ


『こちら、○○○であります!』


子供のような高い声で、電伝虫はキリッとした顔で言った。


「○○○」

『あ、ホーキンスさん?』

「あぁ」

『今どこにいるので?』

「まだ造船所だ」

『そうでありますか!』

「お前はどこにいる?」

『えーっと…。何でありましたっけ?』

『ブルーノズ・バーですよ、○○○さん』


電伝虫から聞こえてきた別の声に、今度はルッチ達がピクリと反応した。今の声は、さっきまで一緒にいた***のものではないか。
***のこととなると抑えがきかなくなる人筆頭のルッチが、ホーキンスから受話器を乱暴に奪う。


「***!」

『その声は、ルッチさん?』

「ホントに***なのか!?」

「何で***が海賊の電伝虫にかけてくるんじゃ?」


受話器がルッチ、パウリー、カクの順で回っていき、一つの受話器に群がる男達は見ていて大変見苦しいものがある。そして最初に受話器をとったホーキンスは置いてけぼりである。



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