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結局眠ることはしなかった。妨害音が思いのほかうるさくて。しかしこちらにきてから睡眠過多な気がする。神殿で寝て、城でも二度寝して。逆に体調を崩しかねないような気もするが、見えずともストレスがかかっているのだろうから、眠れるだけ良しとしよう。不眠にでもなったらそれこそ身体がもたない。

いくら待ったのかはわからない。ただひたすらに空を眺めて考え事をしていた。次はあのドロドロのグリンフレークか。正直昼ドラは嫌いじゃない。小学生の頃、夏休みのような長い休みには昼ドラを観賞していたくらいだ。歪んだ愛、交わされた情、妬み嫉み。昔観たそれを思い出したら、グリンフレークなんてそうどぎついものでもないような気がしてきた。それでも、前年齢向けのゲームにしてはハードなのかもしれないけど。あー、ちょっと楽しみだな。戦闘やりこなせるかな。あめふらし、ぶん殴ろう。
多分そういうことを考えていたんだと思う。太陽が頭上へ昇る気がした頃に、アルスらは戻ってきた。

「おかえり。おつかれさま」
「これからフォロッド城へ帰る。さあ、行くぞ」

少しお疲れのようなキーファが言う。キーファだけに限ったことではないが。特にアルス、やはり落水したのだろう。疲労のせいで目が開ききっていない。装備品も水がしたたっている。

「はぁい、行きまぁす」

立ち上がり、衣服についた土を払って歩き出す。先頭のアルスにぴょこぴょこと忍び寄って身を屈めて下からにやり、と問う。

「水に気をつけてって言ったけどやっぱ落水したんだ」
「予言するならもっと具体的にお願いします」

この、迷惑そうな表情。結構好きなんだけど、そんなことを口にする気はないから、ただただにやつきながら続ける。自分タチ悪いなあ。

「合図かかってタイミング悪かっただけじゃん、そう拗ねないでよ」
「拗ねてません」

本当に拗ねていないことぐらい理解できる。出来心から、茶化してるだけだがそのうちどこかで区切りをつけてやめないと本当に心底嫌われてしまう。それはちょっと嫌だなあ。

「あんたアルスにちょっかいかけるのも程々にしときなさいよ」

後ろからそんな声がかかる。程々。あえてその言葉を選んでくるあたり悪意があると感じるのは自分だけだろうか。実際良く思っていない、かなり不機嫌なんだろう。そうやって少し遠まわしに言うのが、現代の世間が言う京都の人みたいな感じかもしれない。

「うーん、その言い方最高。マリベルやっぱ好き」

顔を見ずに言う。絶叫、そして罵声。ぎゃんぎゃんと響く声はせめて俺だけに当てるようにしてほしい。ガボが顔を歪めている。

「あたしはあんたみたいな奴は大っ嫌いよ!」

まあ、そうだろうなあ。正直マリベルで遊んでいるのだろうと言われれば否めないところがある。誰でも自分で遊ばれていい気はしないだろうから。

「ごめんって、そんな怒んないで」

返事なし、シカトかよ。もう。

「あー、うん、俺が悪かったからさあ、機嫌なおして仲良く帰ろう?」




〜20150730








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