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自室のベッドをふわふわさせながら白の天井を眺めていると携帯電話が鳴った。手を伸ばして取ろうとしたら急降下する感覚に包まれ、目が覚めた。

少し視界が眩む。そういえば、まだこの世界に居たんだった。眠る前の記憶が蘇る。
激戦で負傷した兵の手当てやらをしていていて、一息ついたところで寝床を探すもまあまともな場所なんてなくて、あったとしてもそれは俺が使うべきでない。だから水路の傍で丸まって寝た。今思うと寝返りをうった時に落ちなくて良かったと思う。落水する事を想定せずこんな場所を選んだのだから、俺も相当疲れてたのかもしれない。

アルスはまだ眠っているかな。エリーの調子はどうだろう。今は朝なのか昼なのか夜なのか。外の光は遮断されていてわからない。もうしばらく食べ物も口にしていなかったらしく腹が空っぽだ。こんな時に食料ください、なんて言うのも不躾かなあ。アルス達にはきっとそのうち配給されるんだろうから、その時のおこぼれでもなんでもいいや。確か王の間の右側の部屋……だったような気がする。そこに行けばきっとアルスらに会えるだろう。とりあえず、そこ行こうかな。

向かう間、誰一人として顔を合わせなかった。城に仕える者や兵士、誰も居なかった。王の間にはたくさんの兵士が横になって睡眠をとっていた。こんな状況を目の当たりにしても、大変だなあ、とか、それくらいの感想しか出てこない自分は情が薄いと言うのかなんと言うのか。自分の抱えるもので精一杯で、他に目も気も向かないと言ってしまえば言い訳成立だが。もう少し何とかならないものかと自分で思う。他人に指摘されるのはごめんだ。

アルスらが眠っているであろう部屋の扉は開けっぱなしで、そっと覗いてみると4人揃って横になっているのが目に映る。本来、これが正解なんだろうな。じんわりと切なさが滲む。
ここに俺が居て今のところ影響は特に見受けられない。本来のこの世界の流れをぶち壊すことだってできるはずなのに、今何もしていないのは目的が無い所為だと思う。自分自身が何を望んでいるか自分でもわからない。正解がわからない。考える時間すらない。いっそ、考えない方がいいのかもしれない。

「みんな、おやすみ」

自分も再び眠ろうと、部屋の扉の傍に身体を横たえる。うざったいほどにあれやこれやが脳内をよぎる。いつまでたっても気分が悪かった。














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