18


Arus side


「なに、ぼーっとしてんのよ」

マリベルに後頭部を小突かれ、我にかえる。なんだか前もこんなことがあったような。そんなに深く考え事をしていたつもりはなかったのだが、どうやら知らぬ間に深く考えていたらしい。

「どうせレツのことでしょう?」
「まあ、ね……」
「ほぅら、マリベル様にはお見通しなのよ」

レツさんは、正直なところ使えない。特に戦闘面において。占いができるというのは使いよう、というか。しかしそれも自分から発言する素振りなんて一切無い。それなら、ただの戦闘慣れしていない一般人と同じこと。そんな人を連れてまわすなんて、万が一の事が起きたら責任を取れない。最低限自分で身を守ることはできるものの、やはりそれだけでは足りない。魔物がいるということは、その万が一が起こる確率が大幅に上がるということ。どうにも、この先にあるものは不安、のようで。

「オイラは、レツ、悪いやつじゃないと思うぞ」
「まあ、それはそうかもしれないわね。気に入らないけど」

そう、悪い人ではないはずなのだ。信用という面において若干の難があるだけで。
本当に、これから一緒に旅を続けていいものなのだろうか。もしかしたら、きまぐれにパーティから抜けるなんて事も予測しておいた方がいいかもしれない。皆が認めた訳ではないから、何かの拍子、下手すればフォロッドから現代に帰って、離脱なんてことも有りうるのだ。そういえば酒場はどうしてきたのか。ここに来てもう何日も経っている。普通なら無断欠勤でクビになってもおかしくはないはず。後で聞いてみよう。

「レツまだ特訓してたぜ」

戻ってきたキーファが口を開く。もうそろそろ、日が暮れてきてもおかしくない時間だろう。

「僕、声かけに行ってくるよ」












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