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その日は、城付近に放置されている壊れて動けなくなったからくり兵を相手に特訓した。関節の狙い方に重点を置いて、刺す、切るを練習したつもりだが、どう努力しても実践とは程遠い。あの後も少しキーファに付き合ってもらったが大した収穫もなく、明日に備えて休んでもらう事を優先させた。まだ、フォーリッシュがおちたという知らせは届いていないが、もう間もなく、こちらも襲撃されることだろう。

襲われる。自分はそれを知っている。なのに行動しない。守ろうとしない。どうして、それは物事の決まった流れに逆らう事であり、多分、してはいけない。もしそれを言って、フォーリッシュで戦って俺を含めアルスらが全滅したら。それは俺のやりたい事と少し違う。明確な目的なんて今は無いけど。一番は、そこにあるはずの失われる命がまだまだ遠くの事に感じているからかもしれない。

「どうすりゃいいんだ」

戦闘。体育は小学校ではよくできる、中学は5段階で4、高校も似たり寄ったりのような成績。これから先本当にレベルアップできるのか。武器が悪いとは思わない。確かにからくり兵から繰り出される一撃を避け、間合いを詰めて攻撃しなければならないから、相性は良くないと言える。だがそれは他の敵になら通用するかもしれない。何でもこなしてやる、そう強気でいないときっと何もできない。
未来を知っている事も、どのようにして活かせばいいのかよくわかっていないのが現状で。アルス以外には話していないし、黙っていても良いものなのか。具体的にどこでどのようなアドバイスをするかなんてこれっぽっちも考えていないのだから。聞かれれば、答える。そういう風なスタイルでいるつもりだ。でもきっと、今更になって思う。未来を知る必要なんて無いのかもしれないと。
どうしてここに来たんだろう。自分の必要性に疑問を感じる。エスタード島に居るよりは、帰れる確立も高くなるかもしれない。それ以外にも、求めていたのかもしれない。

「レツさん」
「アルスくん、どうしたの?」

振り返ればアルスが居た。気がつけばもう辺りは暗くなっている。

「早く、寝た方がいいんじゃないですか」
「そうだね、ありがとう」








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