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怖い、怖い。なんだよあれ、そんな攻撃ありかよ。

石版を介してフォロッド城周辺の地に辿り着いた。途端に襲い掛かってくるからくり兵を生で見たときは正直もう固まるしかなかった。想像と大きく違うところはこれといって無かった。けれど、当たり前だが動くのだ。重い武器を振り回して、襲い掛かってくるのだ。平和な頭の中の想像物とは、圧が違う。立ち向かっていく皆を唖然として見つめながらひたすら身を守ることしかできなかった。


「なによ、全然使えないじゃない」
「あはは、申し訳ない」

途中で死んだりしないでよね、後味悪いから。とマリベルに一蹴される。
確かにここは俺が居ていいレベルじゃない。スライムベスくらいならまだなんとか相手にできるだろうか。何にせよ、この状態で戦闘に加われば確実に重傷を負うだろう。どこで特訓しようかなあ。

フォーリッシュに着いてみても、ゲーム通りに進んでいく。小説の、だれかとだれかは出てこなかった。名前は覚えてない。もしかしたら居たのかもしれないが、それが強調されていなかったのでわからなかった。本当に、ゲーム通りに進んだ。フォロッドに向かい、傭兵になり、ゼボットさんの研究所にも行った。細かい箇所こそ忘れてはいるが、記憶している通りに事が進むもので逆に驚いた。



「キーファくん、あのさあ」
「ん?どうしたレツ」
「修行、付き合ってくんない?疲れてるのは、知ってるけど。ごめんね」

多分今、フォロッド城が襲撃される前日くらいかな。防具はキーファのお古を使わせてもらってる。武器は、鉄の槍を購入したアルスから聖なるナイフを譲り受けた。未だに半分以上は身を守る行為に徹しているも、少しくらいは敵にダメージを与えられる程度にはなってきた。

「別に構わないぞ」
「よしっ!じゃあ外出ようか」

兵士詰め所の西側で、互いに構える。まだ使い慣れていない短刀を握る手に力が入る。

「いくよ」
「来いっ!」

向かって、とりあえず切りつける。勿論あたらない。退いたキーファがキッと銅の剣を構えなおして振り下ろす。右に避けて腕を狙えばキーファは体をひねり、腕を上げ、手首のすんでのところで銅の剣が止められている。

「あちゃー、これ本番なら手首きれてるね」
「……いや、相手によっちゃあ手首落ちてるぞ」
「あはは、そうだねえ」
「いや笑い事じゃないと思うんだけどなあ……」

最初に攻撃して十秒も経たないうちに、これだ。こっちへ来てからほとんど進歩なし。今まで生きてる事が奇跡みたいで、気分が悪い。いっそ死ねたら家に帰れるのだろうか。









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