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もう何時間経っただろう。陽の光なんてものは遥か向こうの彼方から遮断されていて時間なんてわからない。前回ここを訪れた時と同様、時計なんてものは持っていない。
明らかにこれだとわかる灯りなんてものはないのに動くのに不自由しない程度に明るい、というか薄暗いだけのここでずっと待っている。もう現代のオルフィーは訪問済みのはずなのだからそろそろこちらに向かってきてもおかしくないはずなのに。多分三時間ぐらいは待ってる。一応、だがまる一日くらい待つ覚悟はしているのだ。
それにしても、長い。自分がせっかちに分類される自覚は無かったけれどそう言われれば仕方ないかもしれない。ずっと座っていたせいかそろそろ尻が痛い。

(次は、フォロッド城か)

からくり兵、か。絶対勝てない。瞬殺だわ。武器や防具も用意しておくべきだったかな、と最近購入した(自分なりの)旅装束を装備している自分を見て思う。金がなかったのと、エスタード島で購入するような簡易な武器やらでこれから行く先の魔物には敵わないだろうと思ったので購入には至らなかった。というかマジで金が無かっただけ。


もう何時間も待った。来ない。待ち伏せという形をとったのは自分だしいくら自分が待たされても文句は言えない筈なのだが、腹が立つ。早く来い。
次第にあくびが出てきだして、そのまま横になる。ここで眠るの二回目だな。アルスらが来たらまあ、起こしてくれるだろう。うつらうつらとしている間に、眠りに落ちていた。


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体が揺れる感覚でまどろみの中から引きずり出される。気持ち悪い、やめてくれ。酔う、酔うって。

「んんっ……」

うすらと眼をあければやさしい緑がぼんやりと映る。

「レツさん、しっかりしてください」
「えー……ん?草?」
「僕は草じゃないです。どうしたんですかこんなところで」

次第に覚めていく眠気。そうか、アルスか。ゆっくりと上体を起こす。

「あ、アルスくん。待ってたよ」
「……そうですか」

もうさすがにここを知っていることも驚かないようで。それよりも後ろに見えるお仲間さん達の方が不審そうに自分を見ている事に気づく。特にマリベルお嬢さんが。

「誰よこの人。アンタほんとに知り合いなのね?」
「あはは、皆さんはじめまして。俺、レツって言います。レツ・タカラ」

アルスを除き、皆状況が飲み込めないでいるような顔をしている。アルスは何も話していないのか。

「……本当についてくるんですか」
「そのためにここで待ってたんだよ」









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