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Arus side


ドレス姿のままのレツさんについていけば、二階の宿の一室に案内された。家具はタンスとベッド、テーブルだけの必要最低限で、かなり殺風景と言える。

「まあベッドにでも座っててよ」

それだけ言うと首の後ろで結んでいたリボンをほどき、何の躊躇いもなくドレスを脱ぐ。下着一枚でタンスを漁り動きやすそうな服装に着替え、隣に腰掛けた。

「さぁて、キーファくんの未来の続き、聞きたい?まあ言ってみたところでそれが現実になるとは限らないけどね」
「それは、さっき言った事は全てでたらめ、という事ですか?」
「違うよ。あれは一番辿り着く確立が高い未来の話。分かりやすく言うと今からの人生がAルート、Bルート、Cルートと3つの種類あるとしたら。Aに流れる確立が67%、Bが30%、Cが3%ってな場合、俺はAルートの言う。というか詳しく言うと俺はひとつのルートしか知らない」

つまり、どういうことだ。未来は一通りしか予言できない?

「なんかごめんね、難しい話して。この辺りは俺が今日話したい事とはちょっと違うからまた今度でもいいか。ま、さっきの話は参考程度にキーファくんに教えてあげたらいいよ」

キーファがこの国の王子と知っていての「くん」呼ばわりなのだろうか。

「単刀直入に言うと、俺を旅に連れて行って欲しいんだよね」
「……どうしてですか」

少し驚いた。正直、この人を連れて行ったところで戦力にはなりそうにない。未来を知っているのか読めるのかよくわからないが、そこを重視して一緒に肝心なところをはぐらかしそうだ。しかも今加われば一気に大所帯になり、まとまりがなくなってしまう事もあるかもしれない。

「俺が行きたいから。強いて利点を挙げるなら、わかる所はできるだけアドバイスする。ぶっちゃけた話、ある程度先の事までは知ってるしね。って言っても俺を連れてく利点なんて、そんなないよな。非力だし」
「じゃあ連れて行けません」
「そんなこと言わないでよー。へっぽこなりに頑張るよ?」
「頑張るとかそういう問題じゃないです。危険です。魔物も出るんですよ?」

努力ももちろんそうだが、しかし気合で全てなんとかなるわけではない。これまで、最初に訪れた地と比べ魔物は強くなってきている。戦い慣れていない人がいきなり戦闘に参加しても、戦力になるどころか自分達はサポートに気を取られてやられてしまう可能性がある。

「ほんとにだめ?」
「だめです」
「俺の事心配してくれてるんだねえー嬉しい」

無意識に言ったそれが心配の意味を含んでいたのか。少し気恥ずかしくなる。

「……って、もし行くにしてもお店はどうするんですか」
「辞めるけど?」

いともあっさりと。










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