アイ・ラブ・ユー [ 5/9 ]
空虚に広がる夜空に一つの人影。その影が叫ぶ。
叫ぶ!
「私は人間を愛してる!非日常を愛してる!愛してる!」
夜の池袋に響き消える声、折原名前それが彼女の名前。
「だから、人間も私を愛すべきだよね?」
誰にも届かない彼女の声はまた一つ夜空に吸い込まれ消えていった。
♂♀
「名前!お前またここに来やがって!」
「もー、シズちゃんカリカリしちゃって。ビタミン足りてないんじゃないの?」
「知るかぁ!まちやがれぇ!名前!」
長い髪が静雄の攻撃をよけるたび綺麗に揺れ、もし名前を知らない人なら見とれてしまうだろう容姿。
「待ってっていって待つ人居ないと思うよー?でもまあ…、困ったな見逃してよ」
かちゃっと折りたたみのナイフを静雄に向ける名前。
彼女を取り巻く非日常な日常。
アイ・ラブ・ユー(ああ、この日常すら愛しい)
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