波打ち際


波打ち際で眠っている
泳ぎ疲れた身体が打ち上がっている
生まれたままの姿で、白い肌がただそこにある
死んだように眠って何も言わない
しずかに息をしている

しあわせを固めてお互いに差し出しても
裸のまま革張りのソファにすわって
薄ぼんやりとしたオレンジの照明を見つめている

ただそこに存在する

熱と気持ちを奪い合って
汗を浴びた数分前に
たしかに感じていた言葉
あれはどこへ行ったのだろう
どうしてすぐにわたしを見捨ててゆく

背中に革が張りついて音を立てる
ここには窓がないから夜を感じない
わたしもしずかに息をする
胸になにか刺さってる





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