まどろみ

ふるぼけたまばゆい光が
夜の背にもたれて溶け出している
あのうすもも色が街を染めれば
鳥のさえずりが響いて
きのうは悪人だったあの人も
少しは優しくなるだろう
何も知らないふりをして

葡萄をたべるみたいに、ひとつずつ
こころをつまんでゆく
汚れたゆびを舐めても
それはもう毒にもならない
纏わりついたしずくの匂いで
体のからっぽを満たそうとした
なにかが欲しいと。

いつだって真ん中が無くて
こびりついた錆は落ちない
徘徊者がこぼした生ゴミの後ろを
じりじりとカラスがついてゆく
それを見ていたかのように
言葉を書くけれど
わたしはきょうもひたすら眠っていて
誰かが見た夢を再生しているだけ






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