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13

「はー今日はあっついねぇ〜」


任務が終わり里に帰還。

テンゾウの家の前を通っていると悲鳴が聞こえた。いつもなら無視するが聞こえたのは女性のもの。
さすがに気になって、空いた窓から中を覗き声を掛ける。


「さっきの悲鳴はどうした…!って…」


そこで視界に入るのは上半身裸の後輩と、すぐ近くで顔を真っ赤にして蹲る一人の女の子。

え、なに、テンゾウの彼女?
いつのまに、こんな可愛い子を!? 

っていうか…なによ、この無理やり感。
ちょっと腹が立ったのはいうまでもない。


「テンゾウ…お前っ!!!」
「せ、先輩!これは誤解で…!!」
「問答無用、恥を知れ!!」
「うわわわっーーー!!」


写輪眼、強制発動。
瞳術で悪夢を見せてやった。

咳払いを一つして、横でキョトンとする女の子に声を掛ける。

 
「…ったく、いくら彼女だからって嫌がる子を襲うとかあり得ないでしょーよ」
「ぁ、あの…えっと…」
「驚かせてごめんね?オレは、はたけカカシ。この里の上忍だよ」
「貴方がカカシさんですか…!ヤマトさんからよくお話は聞いてます」
「お、そうなの?えっと…」
「私、名無しさんと言います」
「名無しさんちゃんか、可愛い名前だね。君は…テンゾ…ヤマトの彼女?」
「ち、違います!!」


恐れ多いと、アタフタ手を振りながら完全否定。その姿にブッと噴く。

見た目に反して、ウブな子なんだとそこで気付いた。


「でも一緒に住んでるっぽいじゃない?」
「それは…その私、少し前に木ノ葉に来て、ちょっと訳あって今ヤマトさんにお世話になってるところなんです。も、もちろん火影様の許可はもらってます!」
「ふーん…」


明らか動揺してるね、どうしたもんか。 

とりあえずもう少し様子見るか?


「…あの…カカシさん、気になったんですけど、さっきテンゾウって…。差し支えなければ教えてもらっても?」
「あぁ、昔の名前というか…。そうだ、ヤマトの面白い話してあげよっか?あいつ、ああ見えて乗り物にすごく弱くてさ…この前も」
「え、そうなんですか…!」
「そうそう、それでね〜」


様子を見るつもりが、他愛ない話につい盛り上ってしまう。
コロコロと変わる表情が可愛いくて、もっと見てみたいとも思ってしまった。

そこで腕に違和感、血が滴っている。


「カカシさん…腕に血が…」
「あー…さっきまで任務だったから…まっ、こんなの舐めときゃ治るよ」
「……っ」
「…名無しさんちゃん?…気分悪くなった?」
「…美味しそう…」
「えっ」
 

急に俯いたので、見慣れない血を見て気分が悪くなったのかと思い心配して顔を覗き込む。すると目が紅くなっていた。

というかそれよりも、この色気なに!
めちゃくちゃ…グッとくる…


「だったら私が舐めてあげる…」
「……!!」


ゆっくりと腕を掴まれ傷口を見つめられて、そこへ深紅の瞳と同様の赤い舌が腕に纏わりつく。
彼女は、ピチャピチャと美味しそうに血を舐めていた。


もしやこういうプレイ…?
え、オレ、応えるべき? 


「強い男の血って…大好き…ねぇ、もっと欲しい…」
「そ、その、名無しさんちゃん…?」


目線がバッチリ合うと、ゾクッとした何かが背中を伝う。本能的に分かるこれ以上は、ヤバいと。


「…っ!!!や、ヤマトの瞳術もう少ししたら解けるから!オレ、まだ任務報告してないから行くね!じゃあ、また!」


バッと肩を持ち、距離を開けて早口で伝える。

ドロンっと音を立て消え、少し離れた屋根の上に腰を落とす。さっきまで舐められた傷口を見てみると、不思議な事に治っていた…


「何なの…?あの子は…」


里にとって仇なす者なら排除すべきだが、彼女をこの里に住ましたのは火影様。きっとヤマトもそれを承知の上で隣に置いているとなれば…仇なす者とは考えにくい。

そこで辿り着くのは血継限界の一種?


「…不思議すぎでしょ。ま、敵じゃないならいっか」


もしあのまま彼女に血を舐められ続けていたら、どうなったのか。逃げたのは少し惜しかったと思いつつも、呑まれそうになったのでそこは良しとしよう。


とりあえずをヤマトをとっちめようか、うん。





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