んなこと言われても12


▼体育祭3



「では皆さん位置について…」
「あっあのっすみません!」

説明が終わって並ぼうとしたら後ろから宮沢の声。

「えっと、あの、飛び入り参加しろって、あの、言われて…あの…」

その場の全員の注目を浴びて尻すぼみになる宮沢。

「しろって、誰に?」
「お、叔父さんに…」
「あー理事長だっけ?」
「うん…なんかいい企画だからこれを機にヤツらのハートを掴めとか何とか…」

アフロで見えないけど居たたまれなさ気に目をうろうろさせてるっぽい宮沢。
そりゃ叔父さんが甥っ子をみんなに見て貰いたくて飛び入り参加させちゃうとか居たたまれないよな。

「じゃあ一緒に走れるな」

そうアフロをわしゃってしたらへへって照れた。
ういやつめ。

「ちょっとそこ!過度な馴れ合いは止めなさい学校行事ですよ!」

オレ達を指差して叫ぶ副会長。
女装はよくて馴れ合いは駄目なのか副会長。

「まぁ理事長の命令なら仕方ありません。あなた方もさっさと位置につきなさい」
「そうだよそれで早く女装してローションでヌルヌルになってオレに愛の告白してよー」

「はっ?女装?え?なに?」

会計の言葉に事態を飲み込めてない宮沢。

「走りながら説明してやるから」

そして障害物リレーが始まった。

とりあえず走って直ぐのとこにある紙を拾う。
セーラー服だった。

「宮沢、何だった?」
「メイドって書いてあるけど…借り物競争?」
「いや何か着替えるらしい」
「えぇっ…かっ加山は…っ」
「セーラーだって」
「セーラー…」

男子校では叶わなかった桃色高校生活でも想像したのか赤くなる宮沢。
純情ボーイめ。

衣装はコースの横に並べてあって、既に何人か着替え始めてた。
恥じらって中々脱げないチワワやバニー服で股間があれな事になってるガチムチくんとか色々。
ちなみにガチムチくんは都合よくブーメランパンツだったからバニー服を上から纏ってもそこまでおかしくはなかった。
いやガチムチバニーとかおかしいんだけど、トランクとかだと更におかしくない?
ただ脱いだ時と着た時の観客の悲鳴がハンパなかった。
胸毛凄いな。
ちなみに恥じらってたチワワは何とか隠しながら着替えてたけどチラッと見えたパンツが紐パンだった。
それは恥ずかしいね。
ドキドキだね。

オレはボクサーパンツだから何の恥ずかし気もなくパッパと着替える。
スカートってこんな感じなんだね。
開放感ありすぎて心許ないね。
宮沢はと思って見てみたらミニスカメイドがそこにいた。
ほんとミニ。ワカメちゃんバリ。
宮沢はスカートを前後に引っ張って恥ずかしそうにしている。
ういやつめ。

「圭ちゃんコッチムイテーッ」

後ろの方から北島のヤジが飛んできたけど華麗に無視。

「セーラーですか…凡人らしく凡庸なチョイスですね加山圭吾。ナースやバニーも捨てがたかったですが、いえもちろん笑いのネタとしてですよ勘違いしないで下さい!ですがやはり貴方にはその素朴なセーラー程度が」

副会長も無視。

「よしじゃあ行くか」

オレは恥じらいもなく大股でパンチラしながら、宮沢は恥じらいながらスカートを抑えて走っていった。
そうするとハリボテの階段があって、割と太めの丸太が5本向こうへ渡してある。
確かに女の子がこの太さの丸太に跨って進んでたらあらぬ妄想をしてしまいそうだ。
あ、あのミニスカポリスとか華奢だからそれっぽく見えるかも。
ちょっとドキドキ。
あれあの子さっきの紐パンチワワだ。
ちょっとドキドキ。

「なんかみんな跨いでるけど…普通に渡ればいいんだよな?」
「いや騎乗位っぽく跨いで進むらしい」
「きっじょ…っ」

案の定真っ赤になってワサワサする宮沢。
油断してスカート放置してるからパンモロしてるぞ宮沢。
ういやつめ。

とりあえずオレと宮沢は一緒に渡る事にした。
宮沢が前でオレが後ろ。

「これならパンチラしてもオレにしか見えないから安心だろ?」
「なっなななななっ」

振り向いた宮沢はアフロの下が真っ赤だった。
純情ボーイめ。

「パパ、とかっ言うなよっ」

パパは来てないな。
しかし目の前にフリフリ揺れるスカートがあると痴漢の気持ちが少し、いや何でもない。
痴漢だめ絶対。

「よしじゃあこうしよう」

宮沢の腰に抱き付いて密着する。

「ふわわわわっ」

何やら奇声を発してワサワサする宮沢。
面白いぞ宮沢。

「こうすれば誰にも見えないだろ?」

目の前の耳がありそうな位置で囁くと宮沢が固まった。
そんでしばらくしたら悲鳴上げて凄い勢いで丸太の上を走ってった。
どうした宮沢きょう絶好調に面白いな。

「きゃー圭ちゃんの浮気者ぉーっ」

どうした北島きょう絶好調にノリノリだな。
そして何故その横で生徒会の面々が頷いているんだ。
いつの間に仲良しさんだ。
ちょっと淋しいぞこのやろう。

「オレの嫁にも関わらず」
「待って下さいなぜ貴方なんです?」
「そうだよー騎乗位プレイ公開させるとか嫁にする事じゃないじゃん!」
「あいつはこれからオレに告白するんだよ!」

なんか言い合い始めた。
その横で北島が早く行けってジェスチャーしたからさっさと進んだ。


進むとそこには何ともいえない図が広がってた。
スッテーンと思いっきり滑るチアガール。
笑える。
ローションまみれのガチムチバニー。
若干笑えない。
ローションにへたり込んで息を切らしているチワワ。
笑えない。

しかもローションに何か混ぜてるらしくって白濁だった。
そこまでするか男子校。
みんな色々溜めすぎじゃね。

「そんなに滑るんだ…」

白くヌルヌルになっていく男たちを見て呟く宮沢。

「ゆっくり進めばイケる気するけどな」

という訳でそろそろと進む。
けど思った以上に滑る。
ヌルヌルでツルツル。
ローション凄いな。

「うおっ」
「加山っ」

ちょっとバランスを崩したオレの手を宮沢が掴んで、オレ達はローションの上で手を取り合った。
おお、この方がバランス取れるっぽい。

「………」
「………」

でもバランス取れすぎて動けないっぽい。

「とりあえず進もうという意識を持ってみよう」
「お、おぅ、わっ」

その時宮沢がバランスを崩した。
このままじゃアフロが汚れる!
と思ったオレはとっさに宮沢の下敷きになった。
オレ頑張った。
ファイト一発っぽかった。
だってアフロが。

「かっ加山っごめ、」

慌てた宮沢が頭上で固まった。
オレは白濁ローションでドロドロで、宮沢はオレに覆い被さってて、そうなったら宮沢の思考が行き着く先は桃色に違いない。
ういやつめ。

「宮沢のエッチ」
「わわわわわわごめっふわっ!」

ボンって音がしそうなほど真っ赤になった宮沢は慌ててワサワサしようとしてまた滑ってオレの上に倒れ込んだ。
若干みぞおち入った。
おのれやりおるな。

「っごめっ、オレっ違っ…!」
「とう」
「わぁっ」

尚も真っ赤な宮沢に奇襲をかけてやる。
宮沢はツルッと滑ってローションに尻餅をついた。
そして形勢逆転とばかり宮沢にタックル。
と行きたかったけど滑って抱き付くだけになった。
でも慌てた宮沢が勝手に滑ってローションにダイブした。
あ、アフロが。
まぁいいか。洗えば。

「ちょっと楽しいなこれ」
「ななななな」

宮沢の上に乗ったままローションを滑らせて遊ぶ。
ヌルヌル。
宮沢はワサワサ。
楽しいなこれ。

「よし宮沢、どっちが先に渡れるか勝負だ!」
「へぁっ?あっずるい!」

ちょっとズレてるアフロを直してローションの上を駆ける。
宮沢も直ぐに反応して慌てて起き上がった。
そして同時に滑ってローションの上で組んず解れつ。
二人で笑いながらもがいて滑って、気がついたら何とレースは終わってた。
らしい。

まだみんなローションの所でヌルヌルしてるのに、と思ったら、次のスケジュールが詰まってるから切り上げる事にしたらしい。
まさかローションでここまで苦戦するとは思わなかったんだろうな。
やるなローション。

「これ以上こんなものを見せられるのはご免です。全く何て破廉恥な…!」

さっさとローションから出るように指示を出す副会長。
これ生徒会が企画したんじゃなかったのか。

「ほんとだよぉーせっかく圭ちゃんのエロエロ姿楽しみにしてたのにずっとアフロくんとラブラブしてんだもーん」
「らっらぶ…っ」

宮沢はこの手のからかいに本当免疫ないんだな。
ういやつめ。

「でも会長案の告白は聞きたかったなぁーオレへの愛限定で」
「止めておきなさい。リスクが高すぎます」

その時は何の話か分からなかったけど、実は一人だけローションブースを乗り越えてお立ち台まで行った猛者がいたらしい。
それは何とあのガチムチバニーくんだったらしい。
まさに猛者。
そしてそのガチムチバニーくんは丸太で擦れてちょっと勃った白濁ローションまみれの姿で会長に抱き付いて愛の告白をしたらしい。
会長はあまりの事に三日三晩うなされたらしい。
北島情報。
確かに、可愛いチワワなら告白されたいかもしれないけどガチムチ系は流石のオレ様会長もチャラ男会計も守備範囲外だろうな。



そんなこんなでオレ達の種目は終わって、ドロドロの体でぐだぐだしてたら体育祭も終わってた。
宮沢もオレもスカートとかが貼り付いて気持ち悪かったけど凄く楽しかった。
泥だらけになるまで遊ぶとかいいね青春だね。
泥じゃなくてローションだけど。
アフロもローションまみれになったけど。
ヌルヌルのセーラーで股おっぴろげて座ってたら副会長に怒られたけど。

いい青春でした。

ちなみにコスプレ衣装は書記が回収していった。
洗うの大変そうだけど処分すんの?
もし洗うんなら宮沢のアフロも一緒にお願いしたい。
ゴワゴワにならないようにお洗濯お願いしたい。
アフロ最高。


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