んなこと言われても8


▼呼び出し



「あの人おれの叔父さんなんだ」

新歓の次の日、出会い頭にカミングアウトした宮沢。
ってか

「あの人って誰?」
「いや話の流れからして昨日の理事長さんだろ?」

首を傾げるオレに、隣にいた北島が首を傾げて応える。

「あー、えっ叔父さんなの?」

そらまたずいぶん雰囲気の違う感じの。
あっ、でも宮沢もアフロ取ると綺麗な髪してたかな。うろ覚えだけどな。なにせ吹き飛んだアフロに目が行ったからな。
そいや顔とかも全く見なかった。レアだったのに勿体無い。

「で、その、理事長なんだけど」
「うん?」
「あの、気をつけて欲しいんだ」
「うん?」

アフロを揺らめかせて言い淀む宮沢。

「えっとだから、オレのこの変装とか叔父さんが言い出した事で。オレは加山を守るためだと思ってたんだけどそうじゃなかったって言うか…いや加山を守るためではあったんだけど更にその先にラスボスがいたって言うか…」
「うん?」

なんだなんだ要領を得ないぞ宮沢。
隣の北島を伺うとオレと同じく首を傾げて肩を竦めている。
だよな。

「とととにかくっオレがお前を守るからっ!」

バッと顔を上げて宣言する宮沢。
それに乗って「オレも加山を守るからっ」って抱きついてきた北島。
それに乗って「オレも宮沢を守るからっ」って抱きついてみた。
宮沢は真っ赤になってワサワサしてた。
うい奴め。

そんな事してたら放送が入った。
あれね、ピンポンパンポン。

『2-Bの杉浦圭吾、杉浦圭吾、至急生徒会室に来い』

少し静まるオレのクラス。

「…あー、なんか聞き覚えあると思ったら書記さんの声か」

スピーカーを見ながら北島がのほほんと言う。

いや、っていうか

「杉浦圭吾って誰」

オレが呟くと宮沢がアフロを揺らした。

「あああれだろ?あのっ、昨日の書記さん?が加山の名前変えてたやつ」

そいやあったな杉浦圭吾。
何者だ杉浦圭吾。
あれか、なんか個人情報が入り乱れてるのか。

「杉浦なんていないよなうちのクラス」

確認するように尋ねると「んー」と首を傾げる北島。

「圭吾が書記の杉浦さんちにお嫁に行ったら杉浦圭吾?」

なるほどオレには関係ないな。

「よよよよめって…っ」

どうでもいいけどなぜまたワサワサしているんだ宮沢。
将来のお嫁さんでも想像したのか赤いぞ宮沢。
とりあえず真似してワサワサしてたらキーンコーンってチャイムが鳴った。

あっやべ宿題やってない。


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