んなこと言われても5


▼食堂2



「久しぶりー会いたかったよー」

チャラ男会計がニコニコしてオレの背中にのし掛かってきた。
おかげでラーメンどんぶりに顔を突っ込むはめになった。
結構冷めてたからまだよかったけど、いや良くない。
顔が油まみれだ。最低だ。

「わー!なにしてんだよあんた!加山大丈夫か?!」

宮沢が慌てて立ち上がった。
まぁ慌てるよな普通。

「あっごめんねーいま舐めてあげるからー」
「ななな舐め…!」

なのになぜ原因のお前がのんびりしているどころか楽しそうに顔を近づけてきているんだチャラ男会計。
そして宮沢は慌てすぎだ。

「あっ大丈夫ですよオレタオル持ってるんで。ほら圭吾こっち向こうなー」

北島グッジョブ。

「うおっ、なんだこのアフロ」

オレ様何様会長様が宮沢の存在に気づいたらしい。
むしろ今まで目に入っていなかったのかオレ様会長。
大丈夫かオレ様会長。

「見ない顔ってか顔見えないねー圭ちゃんの友達ー?」
「あ、あなたは…」

チャラ男会計の問いに口を開いたのは意外にも腹黒副会長だった。
ってか腹黒副会長もアフロが目に入っていなかったのか。
みんな目大丈夫か。

「あっ、副会長さん…!」

なんと宮沢と腹黒副会長は顔見知りらしい。
ダメだぞ宮沢騙されるな。一見ちょっとかっこ良さげなただの黒髪メガネ男子だけどそいつはたぶん腹黒だぞ。

「知ってんのか」
「えぇ、朝すてきなアドバイスをしてくれましたからね」

あれいつもの素敵な愛想笑いがなんか怖いぞ副会長。

「わーほんとすみませんごめんなさいあのですねあの時は、えーと気が動転してて…?」
「なに言ったんだあいつ」

あの腹黒副会長の愛想笑いを崩すアドバイスとかオレも興味あるぞ宮沢。

「それは君と付き合いがあるんですか加山圭吾。さすが類は友を呼ぶと言いますか、程度が知れるってものですね」

あ、なんかオレに白羽の矢が立った。
なんてこった。

「わ、わ、加山は関係ないじゃないですか!変な言いがかり止めてくださいよ!」
「…はぁ?何なんですあなた、今は私と彼が話してるんですから割り込まないでください」

オレは話してなかったけど。
ってか宮沢おまえ本当なに言って腹黒副会長からこんな無表情を引き出したんだ。

「てか何なんですかそのアフロうざったい」

しかも口が悪くなってるぞ腹黒副会長。
オレ様会長もチャラ男会計も、しゃべらないから存在が空気な寡黙書記までちょっとビックリしてるぞ腹黒副会長。

「な、こ、これは別にオレだって好きでやってる訳じゃ…っ」

アフロを掴んで口ごもる宮沢。
っていうか

「え、そうなんだ?オレは好きだけどなそのアフロ」
「えっ」
「えっ」

宮沢も腹黒副会長も他の奴らもみんな動きを止めてしまった。
そんな嫌かアフロ。

「ちょっ、切りなさいこのアフロ今すぐ!もしくはストレートパーマかけやがれ学園の風紀が乱れんだろこの野郎!」

声を荒げてアフロを鷲掴む腹黒副会長。
ほんと今日どうした腹黒副会長。

「あっ!」

そしてアフロが宙を舞った。
そしてなんか時が止まった。みんな動かなくなった的な意味で。

ちょっとの間状況が把握出来なかったけど、宮沢が慌ててアフロを取って装着した所でみんな「あぁ」ってなった。

「あれカツラだったんだ」

オレが呟くと、腹黒副会長はハッとしたように再びアフロを鷲掴んだ。
「だったら話は早いですさっさと取りなさいこのアフロ!」
「いっ、いやだっ」
「あなたさっき好きでやってる訳じゃないって言ってたでしょうが!」
「だ、だって…っ」

いや、そこでオレを見られても何もしてやれないぞ宮沢。
だからそんな頬を赤らめて見つめてくるんじゃありません変な感じに見えちゃうでしょうが。

「こ、これ外すと怒られるんだよ!」
「誰にですかこんなんつけてる方が風紀に怒られますよ!」
「いやだったらいやだ!」


「圭吾、どうする?」

アフロを巡って攻防してる宮沢と腹黒副会長を他所に、北島とオレはお昼をぶじ完食していた。

「んー、ラーメン食ったし帰りたいけど。あとは宮沢かー」
「なんか戯れてんの邪魔すんのも悪いしなぁ。まぁでも昼飯食いっぱぐれる方がキツいか?」
「でももう冷めちゃったなオムライス」
「冷めても美味いだろ。ほらアーン」

それ宮沢のだろ、とかそういうトキメキイベントは女の子とやれ、とか色々言う前に寡黙書記がスプーンを奪っていった。

「こいつを餌付けするのはオレだ」

こいつたまにしゃべってもロクな事言わないな。

「えーオレは圭ちゃんをアーンしたいなー」

日本語おかしいぞチャラ男会計。

「あっ、ちょっと抜け駆けは許しませんよあなたたち!」
「お前らさっきからオレとこいつの逢瀬を邪魔してんじゃねぇよ!」

なんか生徒会全員で言い合い始めた。

面倒くさいから宮沢を手招きしてそそくさと食堂を後にする。
オムライスがもったいないと思ったけど、北島がいつの間にかタッパに詰めてもらってたらしい。
お前ほんとそういうとこ抜かりないな。
素晴らしいな。


とりあえずまたしばらく食堂には行かない事にしようそうしよう。


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