んなこと言われても3


▼ホスト



という訳でどんな訳で、オレは今ホスト教師と廊下を歩いている。

いつもの事だけど、こいつといると周りからキャッキャいう視線や雰囲気が来るからなんとも言えない気持ちになる。
別にオレに向けられてる訳じゃないからわくわくそわそわとかそんな青春みたいな事ではなくて。
お前らこんなんがいいの?ほんとに?っていういうモヤっと感がね、あるよね。

「あのアフロどんな感じだ?」

歩きながら尋ねてくるホスト教師。
どんなも何も、お前がオレらの会話に割って入ってきたんだろうが。
まだほとんどしゃべってねぇよ。

「なんとも言えませんけど、最初の印象より普通で割りと付き合いやすそうですかね」
「ちっ」

なんだその舌打ち。

「つまんねぇな。お前の嫌がる顔が見れると思ったのによ」

おい待てなんだその教師にあるまじき発言は。
オレがお前に何をした。

いやいつも何でクビになんないのかなとか思ってるけど。
むしろ今こいつクビになんないかなって思ったけど。

「オレいじめて楽しいすか」
「最高」
「……」
「いいなその顔」
「最低ですね」

いつもオレに教材運ばせんのはそういう理由か。
もう一度いうけどオレがお前に何をした。

とか思ってるうちに準備室に着いてしまった。

「今度からは他のやつにしてくださいよ」
「あ?何をだよ」
「パシリ」
「やだよ」
「なんでだよ」

あまりの即答っぷりに思わずタメ語でツッコんでしまった。

ホスト教師はそれには応えずに、バカでかい世界地図やらなんやらオレの両手に乗せてくる。
お前今日もなんも持たない気だなこの野郎。

若干恨みがましい目でホストを見れば、やつはオレに向けて手を伸ばしてきた。

「お前は嫌か?オレに付いてるのが」
「……、嫌ですね」

その目が思いの外真剣だったから少し躊躇したけど、髪をスッと耳にかけてきたその感触が気持ち悪くて正直に答えた。
だってなんかゾワって。
しない?人に耳触られたりするとさ。

「…ならいい」
「えっ、マジすかお役免除すか」
「ちげぇよ。言ったろ」

ホスト教師は何が面白いのかクッと悪い笑みを浮かべてオレの耳に口を寄せた。

お前の嫌がる顔が見たいんだ。
とか。

誰だこいつに教育免許取らせたの。


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