んなこと言われても2


▼アフロ2



ホスト教師にアフロ転校生を押し付けられたオレはとりあえずファーストコンタクトを取ってみる事にした。
ちょっとどきどき。

「えーっと宮沢くん?」
「あっ、はいっ?」

名前忘れたから名字で呼んだんだけど、別に名字でも構わないんだろうか。

「えーっと、名前、じゃなくても…?」
「え、あっ、いやあの、さっきのはあの、きっ、気にしないでいいから!」

オレの控え目な指摘で、さっき「○○って呼んでくれよな!」とか言ってたのを思い出したらしい宮沢なんちゃらくん。
ほんとごめん名前忘れて。
しかし今の慌てようからして本当に恥ずかしいようだ。
やっぱ転校初日で頑張りすぎて火傷しちゃっただけなのかな。

「オレ加山圭吾。よろしくな」
「加山くん…。あの、こっちこそよろしく。転校したばっかで何も分かんないからさ、あの」

ちょっと緊張してるらしい宮沢くん。
何だかさっきの自己紹介と全然印象が違う気がする。
まぁいいんだけど。
こっちのが付き合いやすいし。

「加山でいいよ」
「あっじゃあオレも宮沢、とか!何でもいいから!」
「じゃあ宮沢な」

名前覚えてないし。
ほんとごめん。

「加山、教材運ぶからちょっと来い」

宮沢と割とスムーズに会話してる所にホスト教師の声。
お前が宮沢とよろしくやれっつったんだろうが。
何故に全部オレに振るか。
教材運びとか、さっき「抱いてー」って言ってた奴あたりなら喜んでやるだろ。
何故に全部オレに振るか。

そんなオレの心の声も何のその、ホスト教師はさっさと廊下に出ていってしまった。
仕方ないのでオレも立ち上がって後を追う。

ついでに「ごめんな」と宮沢のアフロヘアーを撫でてみた。
実は撫でてみたかった。
思った以上にふわふわだった。
ちょっとクセになりそうだった。

「なななななな」ってどもりまくる宮沢は何かちょっと面白かった。


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