がんばれ不良くん!


「平凡くんのここ…、すっごく固くなってる…」

教室で、ほぅ…と、イケメンの熱い吐息。

「ん、んんー…イケメンくん上手いなぁ」

机にうつ伏せて目を閉じる平凡。

「ほんと?嬉しいな。ここ、気持ちイイ…?」
「ん…エエよ…」

平凡に覆い被さってネットリ囁くイケメン。
フル、と震える平凡。

「よだれ垂らすほど気持ちイイの…?もぉっと、シて欲しい…?」
「ん…。してー…あーそこ、そこグリグリして、遠慮せんと、もっと強くして大丈夫やから、ん、ぁぁ、エエ、エエよ、イケメンくんほんま、上手いわぁ…っ」

平凡の声に興奮して息を荒げるイケメン。
駄目だもう堪えられん。

「ヤメろお前ら昼休みに何しとんじゃゴラァ!」
「え、肩もみやん」
「ふふ。そうだよ、それ以外の何に聞こえるって言うんだい不良くん」

隣の席で突如立ち上がり叫んだオレに、大きくもない目を見開いて至極当然のように答える平凡。
その肩に手を置いて覆い被さる変態イケメン。
何に「聞こえる」って聞いてる辺りお前は確実に黒じゃボケェ。

「イケメンてめー、平凡のこのキョトン顔見てなんの罪悪感も生まれねーのかアァ?」
「嫌だな、何の話だい?僕はただ、平凡くんを気持ちよくする為にほぐしていただけだけど?」
「その言い方ヤメろや紛らわしい上にシラぁ切りきれてねーわボケェ」

この平凡の隣になったのが運の尽き、毎日こんなんである。

「ふふ、恐いなぁ不良くんは。ここを…揉んでただけなのに、何を隠そうって言うんだろうね平凡くん」
「ぁ、そこエエ、イケメンく、」
「はいヤメぇー!ならこのボイスレコーダーは何だゴラァ!」

イケメンの胸ポケットから素早くボイスレコーダーを抜き取ってみせる。

「案の定録音中だなぁオイ」

大方オカズ用に取っておいたんだろうが。
これでお前も終わりだなぁ変態イケメン!

「あぁ、録音のままになっていたんだね、気づかなかったよありがとう」

にっこり笑ってオレの手からボイスレコーダーを取り返す変態イケメン。
チッ、素早いな変態。

「ボイスレコーダー?なんでそんなん持っとるん?」

しかしこれで平凡の心にも疑念が生まれた!
やはりお前は終わりだ変態イケメン!

「あぁ、これは授業用にね。板書に夢中になって、先生の説明を聞き逃すことがあるから」
「へぇー、イケメンくんが頭ええのは努力の賜物なんやねぇ。かっこええわぁ」
「あぁごめん、今のもう一回言ってくれるかな」
「イケメンくんかっこええ」

イヤイヤ今まさに目の前で録音ボタン押しただろ騙されんな平凡ンンン!
というオレの叫びはイケメンに口を塞がれた事により表に出ることはなかった。

「オレも少しは頑張らな。もうすぐテストやし」
「あぁ、それなら僕の部屋でシない?一人でヤるより、平凡くんに教えながらの方がイイし」
「ほんま?ありがとう」
「ふふ、二人でいろーんなお勉強、シようね」

オイ変態お前まさかとは思うがこの展開を予期した上でわざとオレにボイスレコーダーを…!

「つーかテメーの部屋はオレと同室だろうが連れ込むなボケェェェェ!」

そうだオレはこのイケメンと同室なのだ。
いちおう個室はあれど、うっすい壁だ。
教室でも堪えられんのに自室で横からあんな音声聞かされたら暴力沙汰も辞さんぞオレは。

「ええやん。不良くんも一緒に勉強しよーや。な?」

待て平凡なにを言い出したオレを巻き込むな平凡!
まぁイケメンが頷くわけねーけど僅かでもオレを巻き込むな平凡!

「そうだね、三人でシた方が楽しいし、不良くんも一緒にいろんなお勉強、シようね」
「はっ?!」

目を見開くと、何故だか恍惚に笑う変態イケメン。

「よっしゃ!やるからには満点目指したる!」
「ふふ、欲しがりだね平凡くん」
「おー!やったるでー!」
「僕も二人相手じゃ、全精力を注いでヤらなきゃ、ね」

そう言えばオレは不良と呼ばれてはおれど見た目は平凡な造りをしてはいなかったか。

「両手に花…って、イイ響きだよねぇ不良くん?」

あれどうしてだろう冷や汗が止まらない。


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