アナタの顔に首ったけ!
『次に、副会長からの挨拶です』
「ウォー!ヤらせろー!」
「副会長さーん騎乗位で罵ってぇー!」
「抱かせて下さい副会長ー!」
眉目秀麗容姿端麗歩く姿は百合の花。
オレは全寮制の男子校というむさ苦しい世界で、一輪の花、いや女神様を見つけてしまったのだ。
☆
「副会長!いざ尋常に勝負!」
「どっせーい!」
麗しの副会長様に襲いかからんとする不届きゴリラに跳び蹴りをかましてやる。
オレが一輪の花を見つけてから、早いものでもう半年。
そして副会長様親衛隊隊長になってから早1ヶ月が経とうとしている。
そして、副会長様が集会のヤジに対し
『この僕を倒せたら、ネコにでも何にでもなって差しあげますよ』
なんて言って以降、勝負を挑もうとする不届きゴリラが後を絶たくなってから早一週間が経とうとしていた。
「ふふん。その程度の実力でこのオレに挑もうとは笑止千万!首洗って出直して来いやぁ!」
「そういう場合は首じゃなくて顔だよ隊長さん」
ドヤ顔で不届きゴリラを見下すオレに訂正を入れる副会長様。
「さすが副会長様!美しいだけでなく博識なんて、才色兼備という言葉はまさに副会長様の為にあるんですね!」
副会長様を崇めるオレ。
「そもそもオレはテメェじゃなくて副会長に挑んでんだよクソ平凡!」
倒れ込んだままオレの足に蹴りを入れる不届きゴリラ。
「ウッセェ副会長を煩わせんじゃねぇゴリラ!」
それを避けてもう一発入れようと動いたオレより早く、ゴリラの腹にその美しい御み足をえぐり込む副会長様。
そしてゴリラの股間をグリグリと踏み潰しながらオレににこりと微笑みかけるそのお姿のなんとお美しいこと!
やってることエグいけど!
しかしそれを補って余りある美しさ!
「様を忘れてないかな隊長さん」
「はっ?あ…っ!!ももも申し訳ございません副会長様!」
事の重大さに気づいて即土下座。
副会長様に様を付け忘れるとは何たる失態!
副会長様に股間踏まれて呻いてるゴリラがチョッピリ羨ましいなんて考えてる場合じゃなかった!
「礼儀のなっていないガキは嫌いだよ」
「…!!……!!!!もっもっ申し訳ございませんお許しください捨てないでェェェ!!」
苦痛に悶えるゴリラの股間をなおも踏み潰す副会長様。
その足にすがりついて慈悲を乞うオレ。
それを愉悦の表情で見下ろす副会長様。
そして遠巻きに教室へ向かう生徒たち。
くそっ敬称一つでなんて心が狭いんだ副会長様!
だがしかしそれを補って余りある美しさ!
「そうだね。跪いて足を舐めれば許して上げてもいいよ」
「鬼畜ゥゥゥ!」
「何か言ったかな?」
「ご褒美ありがとうございますゥゥゥ!」
公衆の面前で足を舐めさせるなんて、さすが副会長様性格に難がおありで!
しかしそれを補って余りある美しさ!
いやしかし実際ある意味ご褒美である。
いやしかし!
オレごときがこの美しい御み足を舐めるなんて許されるのか?!いや許されない!副会長様を汚すようなそんな穢らわしい事オレには…!
「そう。この僕の許しが要らないと」
「いっただっきまぁーす!」
最初の一舐めをしたら後はもう夢中で舐め回した。
だってあの副会長様の御み足だぜ!
すべすべ!美しい!美味しい!麗しい!
「んむ、んっんっむちゅっんむっ、ちゅっ、ちゅっ、んーまっむちゅっむちっれろれろべろべろ」
「ぁぁそう、指の間まで丹念にね」
恍惚とした副会長様に見下ろされながらベロベロベロベロベロベロベロベロ。
「ふふ、まるで卑しい犬だね隊長さん」
キーンコーン
あ、一時間目終わった。
☆
「オレに負けたからにはお前はオレの下僕だ。分かりやすく言えば副会長様親衛隊の隊員だ。オレの為、ひいては副会長様の為に死ぬ気で働けゴリラ」
「ざけんな」
昼休み、副会長様の御み足に股間を踏みつけられたチョッピリ羨ましいゴリラと食堂でお話し合い。
その最中、突如湧き上がる食堂内。
生徒会役員様がお見えになったらしい。
「副会長様ぁぁぁ!!」
周りと共に立ち上がり、副会長様を崇め声の限りに叫ぶ。
ゴリラは立ちもせず声も上げず、ただ役員席に向かう副会長様を目で追うだけだった。
むむ、これは躾が必要だ。
「あー、押し倒してチンコ突っ込んでヒンヒン言わせてぇなぁ副会長」
「ふふふ副会長様を邪な目で見んじゃねぇぇー!てかゴリラてめぇ、副会長様を呼び捨てとはどういう了見だア゙ァ゙?」
「てめぇこそゴリラとはなんだゴリラとはア゙ァ゙?どっかの平凡と違ってイケメンだろうがボケェ」
「はん!平凡もイケメンもありませんー!副会長様の麗しさの前には人類みなゴリラか猿ですぅー!」
ウワァ、みたいな目をするゴリラ。
なんだ文句あっか。
「お前なんでそんな副会長好きなんだよ。顔はともかく性格アレだぜ?」
「性格はともかくあの美しさの前には公衆の面前で足を舐める事も厭わない」
キリッとしたら、またウワァ、みたいな目をされた。
なんだ文句あっか。
「そもそも、その副会長様に襲いかかったのはどこのゴリラだゴラァ」
「オレはああいうお高く止まった美人を組み敷くのが趣味なんだよ」
「組み敷くとか言うなゴリラ」
「なんでだよ。お前だって少なからず抱きたいだか抱かれたい願望があるから親衛隊なんてしてんだろ?」
至極当然のように言うゴリラ。
これは、これは早急に躾ねばなるまい…!
オレはコップをテーブルにダンと置き、ゴリラをギンと睨みつけた。
「いいか?副会長様はあれだ。神だ!そう、この世に降り立った美の女神だ!お前は!神様とホニャララしたいと!そう言っているんだぞこの罰当たりが…!」
「言ってねーしウルセーよ!」
スパンと頭をはたかれた。ゴリラめ…。
しかし確かに少々声を荒げてしまった自覚はある。
ここは食堂なのだから、副会長様を崇めて叫ぶ時以外は静かにせねばばば。
礼儀のなってないガキだと思われたら捨てられてしまうぅぅぅ…!
「そもそもあのドSのどこが女神だよ」
「副会長様は確かに性格に難しかないけど、それを補って余りある美しさがあるだろうが」
「…本当に顔だけなんだな」
「それ以外に何かあるか?」
「別にいいけどな。聞かれてるぞ」
「何が?」
眉をひそめるオレの背後から、この世のものとは思えない麗しい声が。
「ずいぶん楽しい話をしているね隊長さん」
今日がオレの命日かも知れない。
「いやあの違うんです副会長様!汚名を…!汚名挽回のチャンスを…!」
「汚名は」
「汚名は挽回じゃなくて返上だボケ」
副会長様の麗しいお声に不届きゴリラが割ってはいる。
「ア゙ァ゙?!てめぇしゃしゃり出てんじゃねーぞゴリラァ!あと返上って何ですか!」
「…ボケじゃなくてバカだったか」
ウワァ、みたいな目をするゴリラ。
なんだ文句あっか。
瞬間、オレを蔑む目から一転、ビクッと体を緊張させたゴリラ。
「…なんすか副会長」
「いいえ?別に」
何だと思って振り返っても普段と変わらない麗しの副会長様。
ああ、やはり難しかない性格を補って余りある美しさ…!
「ハッ!そうだ違う!違うんです副会長様!オレが言いたかったのは、副会長様の美しさはどんなアレな性格も霞ませてしまう程」
「では僕は失礼しますね」
オレの話を丸っと無視して、ゴリラにニコリと女神の微笑みを向けて、オレに一瞥もくれぬまま、オレに一瞥もくれぬまま!オレに一瞥もくれぬまま…!
生徒会専用席へお戻りになられた副会長様。
「ふっ、副会長様?!オレには?!オレに女神の微笑みはァァァァ?!」
叫べども見返り美人はやってきませんでした。
「きっ嫌われた…っ!おまおまお前のせいだウワァァン!」
テーブルに身を乗り出してゴリラの胸ぐらを揺さぶるオレ。
それを物ともせずに去っていく副会長様を見送る不届きゴリラ。
「いや、お前むしろ脈あんじゃね?」
「は?脈?なきゃ死んでんだろバカなの?」
無言でグーパンはないと思います対話をして下さいゴリラさん。
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