アナタの顔に首ったけ!おまけ


※おまけのゴリラくん


「最近うちの隊長さんとずいぶん仲がいいみたいだね」

来た。
いつかは来るんじゃねーかと思ってたけどやっぱ来た。

うちの学園の、性格には難しかないが顔だけはパーフェクトな美人副会長。
色々あって、その親衛隊隊長をやってるアホとつるんでいる。
というより、アホが躾と称して絡んでくる。
その度に、アホには見えない位置からオレを射殺す勢いで睨みつけてくるのがいま目の前にいる副会長その人である。

以前ならアホのいない二人きりのこの好機、押し倒して突っ込んでお高く止まったそのプライドをへし折ってやろうと意気込んだかもしれないが、今となっては正直逃げたい。

「…オレになんか用すか」
「うん、そう。お願いがあってね」

アホなら奇声を発してぶっ倒れそうな麗しい微笑み。
正直逃げたい。

「分かってると思うけど、僕隊長さんが好きなんだよね」

この男がそれを口に出すのは意外だな。
そりゃオレと話してるだけであんだけ睨んでくるんだから、むしろ嫌いだったら意味わからんが。

しかし何故それをわざわざオレに言うのか。
正直逃げたい。

「僕はあれを手に入れるためなら、多少の無茶は通せるよ」
「…あんたが言うとシャレになりませんね」

しかしこの美貌を持ってして、あのアホにここまでご執心というのもそれはそれで。
顔以外は本当に難しかないな。

そして何故それをわざわざオレに言うんだ。

「…あいつに直接言えばいいじゃないすか」

言わないだろうな。

「隊長さんには言うとしてももっとずっと先の話かな」

やっぱりだ。

「でも、君には言っておいた方がいいと思って」

大正解だ聞きたくなかったよ馬鹿やろう。

「これからもうちの隊長さんをよろしくね」

自分でもまだ、曖昧な感情だったのに。




「隊長のオレを出し抜いて副会長様に呼び出されただとぅぅぅ!ゴリラてめぇゴリラの分際でどういうつもりだコラァ!」
「出し抜いたんじゃなくて差し置いたんだろ。お前の大好きな女神様が」
「何だとてめぇ出し抜くと差し置くって何が違うんですか!」
「お前ほんとアホだな」

騒がしいいつもの食堂。
射殺すようないつもの視線。
一生変わらないであろうアホとの距離。

「オレもアホだな」

あぁ、本当に、難しかない。


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