女装委員


全寮制の男子校に代々受け継がれている女装委員。
定員は一名のみ。なので必然的に委員長。
毎年二年生から一人、クジで選ばれる。
そして今年はオレが選ばれた。

女子委員の活動内容は、男だらけのこの学園に目の保養を与える事。
ならば女装の似合うヤツらだけでクジをすればいいものを、二年全員でやっちゃうもんだからオレのような平凡が選ばれるわけだバカめ。
学園の90%が美形だからってクジにするからだバカめ。

「菅ちゃんもうちょいおしとやかに出来ないのぉ?パンツもろ見えなんだけどー」
「昨日までおっぴろげてたモンを急には変えらんねーだろうよ」
「菅ちゃんのエッチー」

座る時に大股開いて椅子の足に足を絡めるのは前々からの癖なのだ。
その体制で机に突っ伏して漫画読んでたらチャラ助がちょっかい掛けてきた。
しかしいつも以上に締まりのないにやけ顔だな。

「つかマジ下着までしてんだねー」
「エッチ」

にやけ顔から遮るように、プリーツスカートを手で抑える。

女装委員はパンツも女物だ。
今日は花柄レースのショーツ。
ブラジャーもしてる。最近よくある男性用ブラだと顧問が言ってた。
あと体操服もブルマだし、休日も寮にいる場合は女物。

「今の『エッチ』ヤバぁい襲いたーい」
「お前の節操のなさ凄いな。見た目これだぞ」

にやけ顔のままいつものようにオレと背もたれの間に割って入って、いつものように肩に顎乗せて腹に腕を回すチャラ助。
椅子の前半分に座る。これは前々からのオレの癖。
その後ろ半分を跨いで座る。これは前々からのチャラ助の癖。

「オレ菅ちゃんの声けっこうクるんだよねぇ。やらしーこと言われたらイッちゃうかもー」
「よし分かった黙るわ」

へらへら笑うチャラ助を置いて漫画に専念。
イケメン率90%のこの学園で平凡相手に盛るとか冗談にもならんわ。
そもそもチャラ助はチャラ助のくせに噂の一つも立たないしな。
中学時代は共学なもんでとっかえひっかえだったのに。
根っからの女好きなんだろう。

「菅ちゃん巨乳好きだよねぇー」
「うん」
「その子好きなのぉー?」
「うん」

漫画雑誌のグラビアを覗き込むチャラ助。
初めて見る子だけども。
とてもいいと思います。巨乳。

「オレは写真の巨乳より目の前のちっぱいのが好きだなぁー」
「エッチ」
「エヘヘ」

腹に回していた手で服ごと胸を揉むチャラ助。
胸っていうか、胸なんてないからブラ揉んでるだけだけども。
お前はあれか。
女の格好ならなんでもいいのか。

「んんー、けっこーいいウィッグ使ってんね」
「へぇ」

そしてブラ揉みながらいつものようにオレの髪に鼻を埋めてスンスンするチャラ助。
ウィッグの良し悪しとか知らんわ。

「でも髪はいつものが好きだなぁー。ウィッグしちゃったら菅ちゃんの寝ぐせ見れないし」
「見んな金とんぞ」

オレの髪短いからな。
ウィッグでも被んなきゃマジで女に見えねー。
ウィッグ被っても、お……とこですね、レベルだけども。
オレの後ろ髪は常に一束寝ぐせになっているらしいから、それが隠れるのはいいかも知らん。
チャラ助の野郎、オレを呼び止める時寝ぐせ摘まみやがるからな。

「てか菅ちゃん胸揉まれてんのに反応薄くない?」
「男だからいいんでない?」
「揉みまくっても?」
「いいんでない?」
「やったぁー」

エヘヘとにやけ顔でオレの服の下に手を突っ込んで直にブラを揉みまくるチャラ助。

「んんー、ちっぱいカワイー」
「巨乳のがよかろうもん」
「絵に描いた巨乳より目の前のちっぱいだよぉー」

オレの肩越しに自分で揉みしだいている現場を覗き込んで堪能している。
そんなに女に飢えているのか。
ならなんで男子校来た。

「お前こんど外出届だしてちゃんと女の子を思い出してこい。これはただの胸板だ。おっぱいではない」
「絵に描いた女の子より目の前のちっぱいだよぉー」

いつものようにオレの首筋にぐりぐりしていつものように時折噛みつきながらブラの下へ手を突っ込んで乳首を揉み込むチャラ助。

「それはなんだかモゾモゾするから止めんしゃい」
「んんー?菅ちゃん乳首感じるのぉ?」
「感じる程でもないけどなんかモゾモゾするから止めんしゃい」
「ちぇー」

口を尖らせたチャラ助はブラ揉みに戻しはしたものの、右手がスルリと腹に戻り、更にその下のスカートの下へ。
来たもんだから慌てて漫画を放り出してその手を止めた。

「アカン。それはアカンで君ィ」
「えぇー、男だからいいんでないの?」
「男だからアカンで君ィ。いや女の子でもアカンけど男の子でもアカンで君ィ」
「じゃー上ならいーい?」
「下よりはいいんでない?」
「やったぁー」

こうしてチャラ助の日課にオレの乳首揉み込みが追加された。
モゾモゾするけど男だからまぁいいか。



「菅が女装してるからいつも以上にイケナイ画に見えんな」
「やってる事は普段とあんま変わんねーんだけどな」
「なぁ授業始めていいかな」


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