AVスタッフの憂鬱4


岩場の多い早朝の海岸。
シゴキさん直々に頼まれたスタッフの現場には、あの時の監督さんがいた。

もしかして今回の撮影ってゲイものか…最低だ。

「あっスタッフくん来てくれたんだーよろしくねぇ」

オレに気づいて笑う監督。
あんな事があったからさすがに覚えられていたらしい。
こっちとしてはぜひ忘れて頂きたい。
ぺこりとお辞儀をすると、監督の隣の美丈夫が話し掛けてきた。

「君がシゴキさんのお気に入り?」

身長が高くて細身の、AV男優というよりファッション雑誌のモデルのようだ。
スタッフ?
それともゲイものだから今日のネコ役だろうか。
なんか唇とかやらしいし。

「そうそう、今回もご指名だからねぇ。でもまさか本当に連れて来るなんてなぁー、スタッフくん結構クセになっちゃった?」

美丈夫の返答に窮していたのに、間に入った監督の言葉にさらに窮してしまった。
確かにAVのバイトは好きだけどゲイものは勘弁だ。
知ってたらたぶん断ってた。
だって男が突っ込まれてるの見たり汁ぶっかけたりしても楽しくない。
むしろ萎える。

「あっオレ呼ばれてる。じゃあスタッフくんまた後でねー」

監督が去ってしまったのでオレは美丈夫と二人きりだ。
行く前にオレの役目を教えて欲しかった。
いやだって人が足りないとしか聞いてないから何すりゃいいか分かんないし。

ここは岩場で影が多いとはいえ普通の海岸だから、間違って誰か来ないように人払いとか?
それとも汁男優?
オレ男相手に勃つのか?

「あの、オレ今日なにすればいいんでしょう」

とりあえず隣の美丈夫に聞いてみる。

「ん?オレも具体的には知らないな。今日は見学に来ただけだし」
「見学ですか?」

スタッフでも男優でもなく見学?

「シゴキさんのお気に入りを拝みにさ。確かにいいね君。名前は?」

言いながら腰に手を回してくる美丈夫。
何となく嫌な予感がして「ただのしがないスタッフです」と応えておいた。
そしたらフフって笑われた。

「スタッフくんね。オレはミツル。ゲイものではそこそこ有名なんだけどその様子じゃご存じなさそう?」
「あー、ゲイものは見たことないんで」

すみません、と詫びながら身体をよじると、逆に抱き込まれてケツをねっとり撫で回された。
なんだこの嫌がらせ。

「興味ないの?」
「巨乳の女の子が好きです」
「ふぅん…」

オレも背が高いから、この人が近づいてくると鼻先が触れ合う。
って近すぎだろ。
思わず顔を背けると耳元に唇を寄せられる。
息が生ぬるくて気持ち悪い。
ケツも下から上に持ち上げるように揉みしだかれて、前は膝で割り開かれて、どうしようぶっちゃけ逃げられない。

「あ、の、何なんですか止めて下さい」
「んー?いいねそのささやかな抵抗。オレ好み」

そう言った美丈夫は片手をケツからサワサワとオレの頭に持っていって、何となくいやらしいその唇がオレのと重なった。

唇が、舌が、角度を変えてオレの口を息つく暇なく貪っていく。
上顎をなぞられる度に情けなくゾクゾク震えた。
何だこれ夢か。
夢なら巨乳の年上お姉さんにされたかった。

でもグリグリと膝で押し上げられる前の痛みからして夢じゃないらしい。
実際そこが痛すぎて抵抗出来ない。
痛くて気持ちよくてもう駄目だ。
この人の唇エロすぎる。

「エロ…」

思ってた事が声に出たかと思ったら、オレじゃなくて美丈夫の声だった。
確かにエロい。美丈夫の唇がテラテラしてて、オレの唇と糸が引いてて、すげぇ熱の籠もった雄の目をしている。
え、何で?

「気持ちいいの好きなんだ?目がもっとって言ってる」

やらしー、と吐息で言われてフルリと震えた。

「ねぇ、舌出して、そう、いい子…」

言われるままに舌をチロリと出せば美丈夫も舌を出してレロレロと絡ませてきた。
この人の舌長いな…本当にそれが一つの生き物みたいで凄くいやらしい。
そんな事を思ってたら舌を唇に挟まれてチュポチュポと吸い付いてきた。
オレはずっと舌を出してるから涎垂れ流しで、シャツにビチャビチャ染みている。
これ素面に戻ったら気持ち悪いんだろうなぁ。

「スタッフくん…気付いてる?」
「ふぁ?」

美丈夫がオレの盛り上がった股間を撫でながら聞く。
うわ、恥ずかしいドロドロじゃん!
ズボンに染み出来てんじゃん!

「いま、撮られてるよ」
「っは…?」

美丈夫が首筋を舐めてきて、オレの視界が初めて開けた。

そこには興奮した様子で行け!みたいなジェスチャーをする監督とこっちを向いてるカメラのレンズ……で。
ない。
これはない。

「やっ、やめっ!んぅっ」

もがくオレの口に指を突っ込んで黙らせた美丈夫は、オレをギラついた目で見据えながら明るい声を出した。
声と表情が合ってなくてなんか怖い。

「かんとくーぅ!今日シゴキさんキャンセルでオレにしなぁーい?」
「んぅう…っ」

言いながらオレの股間を痛いくらいグリグリしてくる。
声と行動も合ってないぞ怖いこの人!

「えーオレはこの組み合わせでも燃えるけどーでも今回はハメっぱなし耐久八時間スペシャルだし。ミツル綺麗系だからイメージ違くなーい?」

なんで普通に応えてるんだ監督ってか何で撮ってるんだ助けろよ…!
って思ってたら、オレの口に指を突っ込んでた美丈夫の腕が誰かに掴まれた。

「…何してんだミツル」

「…あぁ、主役のお出まし?来なくて良かったのに」

そこに救世主よろしく現れたのは、AV界の大物男優シゴキさんその人だった。
え、なんか二人とも声ドス効いてて怖ぇんだけど。

「とりあえずスタッフくんから離れてくれるか?流石に男優の顔殴れないからさ」

口だけで笑うシゴキさん。
目が笑ってないってこういう事か。
怖い。

「…まぁいいや。今日は部外者だし。じゃあまたなスタッフくん」

携帯片手にヒラヒラ手を振って去っていく美丈夫。
この時オレは、あまりに自然すぎてそれがオレのズボンに入ってた携帯だとは露ほども気付けなかった。



「で?なにしてたんだスタッフくん」
「何だったんでしょう…」

そして今度はシゴキさんに迫られているこの状況は何なんでしょう…。
岩場に押さえつけられてて動けないんですが。
あと何かまだカメラ回ってるみたいなんだけど、シゴキさんが怖くて突っ込むに突っ込めない。
何かシゴキさん怒ってるよなこれ。

「ここ、こんなにして…そんなにミツル良かった?」

そう言ってオレの染みの出来た股間を撫でるシゴキさん。
流石にもう萎えてたけど、シゴキさんのその動きで前の撮影とか電話とか色々、色々思い出してブルッて震えた。

それに目を細めたシゴキさん。
やっぱり何か…怒ってる。
シゴキさんオレより背高いし黒いし筋肉あるし、迫力がハンパない。
怖い。こんなシゴキさん知らない。

「監督、もう初めていいよね?」
「どうぞーぉ。もうずっとカメラ回してるから。後は編集でちょちょいっとね」
「えっ、…えっ?」

オレが事態に付いていけないながらも嫌な予感に青ざめていると、シゴキさんの手が華麗にオレのズボンと下着を剥ぎ取った。

いつかの再来。
赤くなればいいのか青くなればいいのか微妙な所だ。

「ちょっ、何っ止め…っ!」

四つん這いにされてローション掛けられて指が穴に入ってくる。
前とおんなじ。
いやいやなんでオレこんな事になってんだ。
ヤバいこんなでかい図体して涙が出そうだ。

「…ミツルは良くてオレは駄目?」

クッ、と自嘲するような嫌な笑い方。

「なんでオレ、こ、な、ぁっ、ぁっ」

シゴキさんの指は相変わらず凄くて、痛みなんかすぐに忘れて穴がキュンキュンする。
これも前とおんなじ。
この状況は非常にまずい。

「今日はハメっぱなしで八時間セックスするから。オレがタチでスタッフくんがネコ。トイレ休憩とかはあるから安心して。あぁ、ミツルじゃなくて残念だったな?」
「な、そんなん、聞いてな、」
「人手が足りないって言った。嘘は言ってない」
「ぅっ、な、で…」

淡々と言うシゴキさんから怒ってますオーラが出てて怒るに怒れない。
え、これ本来は騙されたオレが怒る場面じゃねぇの?
マジで何怒ってんすかシゴキさん。

「もういい。恨むなら恨んでいいから。今は黙ってオレで感じてろ」

ヌポックチュッヌポヌポグリッ

「っぁ!ぃ…んっ」

いい所を引っ掻かれて強請るような声が出た。
もう嫌だ泣きたい。
もう泣いてるけど。

「…流されやすすぎだろ」

シゴキさんの低い声が背後から聞こえた。
熱い塊があてがわれて、ケツがキュンキュン締まる。

「そんなんだからミツルに手ぇ出されんだよ」

グジュゥウウ…ッ

シゴキさんの熱くてデカいのがゆっくりオレの肉を押し潰すように入ってきて、目から涙がボロって零れた。



バツンッズボッズボッズボボッガツガツガツガツ!

「っあぁあああっ!あっあっあっあっ!」

それからはもう凄い勢いでバックで突き上げられて、オレは泣きながら喘いだ。
なんだか今回は前より乱暴な気がする。

「っぁ、ひぁ、シゴキさ、ぁっあっ」
「っは、気持ちいいか?」
「っぁ、気持ち、気持ちっ、シゴキさ、ぁひっ」

耳元で囁かれていいところ突かれ続けて理性とかもう放棄。

カメラ?
知るかよ前のDVDが世に回った時点でオレの人生は終わってんだ。
耐久八時間が何だってんだ。

ん?
ん?八時間?え?八時間?
八時間この突き上げに耐えるの?
え?無理じゃね。オレの人生本気で終わらね?

「やっ、シゴキさぁん…っ」

後ろを振り返ろうとしたらモロに先っぽで押し上げられて変な声になった。

「っく!」

ドピュッビュルッビュルルルッ!

「んぁあああっ!」

同時にシゴキさんに中出しされて熱い感覚に背中が震えた。

その後も出した精液を擦り付けるように奥を揺さぶられる。
何だシゴキさんの形でも覚えさせようってのか。

ズンッズンッユッサユッサ

「ぁひっ、あ、奥、奥、」
「はぁ、オレのじゃなきゃイけないように、この形覚えてもらわなきゃな」

まさかの的中か。

「…ミツルなんかに渡さない」
「ひぅう…っ」

耳元で熱っぽく言われて、身体が熱くなる。
思わずキュウッて締め付けると、また激しい突き上げが始まった。

ジュパンッズパンッパンッパンッ!

「っぁ、はぁっそこっそこぉっ!シゴキさぁんっ!」
「っくそ、そんなんだからミツルに目ぇ付けられんだろ…っ」

なんか、いや何かさ、さっきからシゴキさんの発言がさ、霞む頭で考えてるととんでもない勘違いをしそうなんだけど。

ジュブッズブッパンッパンッパンッパンッ!

「んぁっはぁっあっあっ激しっんぅうっ」

シゴキさんは仕事で何人もの女の人と、あとたぶん何人もの男の人を相手にしてて、だから電話でセックスとかも軽くやれちゃって、たぶん誰彼構わずやれちゃって、オレはそれがなんか悔しかったけど。

「こんな吸い付いといて…オレ以外にやられるなよ…」

これは自惚れていいパターンだろうか。

「ぁ、ゃ、んっあっあっそ、な、ずるっ、ですっ」
「っは?」

出来る限り首を逸らしてシゴキさんを視界に捉える。

「シゴキさっだって、色んな人としてんのっ、オレっやだっンッ」

いきなりハメたまんま身体回されて手首押さえつけられて正常位でキスされた。
凄い、噛みつくようなやつ。

あ、キス、もしかして初めて、かも。


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